ソフトバンクの株価急上昇が止まらない。週明け7日の同社の株価は、強烈な買い戻しが入って、前週末比ストップ(400円)高の3070円と急騰した。この日で9営業日連騰だが、その前もわずか1日の下落(6月24日)を挟んで5営業日連騰となっていたのだ。わずか3週間のあいだに1500円台だった株価が2倍円以上の急上昇をみせたことになる。また、今年1月9日につけた年初来高値1221円に比べると2.51倍の大幅高である。この株価急上昇の背景になにがあるのか。
外国証券のアナリストはソフトバンクの株価上昇について「なんといっても、日経平均株価が一時9900円の大台に迫るなど、相場全体が堅調を持続していることが背景にある。中でもとくに、IT関連の主力銘柄の戻りが目立っていることがソフトバンクにとっては強烈な追い風となっているようだ」としている。
実際に、ITバブル相場の崩壊で相場の悪役となり、株価が大幅に暴落した銘柄ほど最近の反発には目覚ましいものがある。年初来安値から、週明け7日までの時点でその株価の反発ぶりを点検してみると、富士通は300円から643円、古河電工は210円から499円、日本板硝子も205円から382円とそれぞれ急速な戻りを示しているのだ。
これに加えてソフトバンク固有の買い材料として浮上したのが、懸案となっていたあおぞら銀行の保有株の米投資会社Cerberusへの売却正式発表だった。ソフトバンクは6月30日、同日開催された取締役会で、同社が保有するあおぞら銀行の全株式を Cerberusに売却することを決議したと発表したのだ。売却する株式数は13億8554万8000株で、売却金額は1株当たり73円として1011億円。売却時期は8月下旬を予定している。
売却代金は、ソフトバンクグループがグループ全体で取り組んでいるブロードバンド事業に充当されることになる。中堅証券の投資情報部は「あおぞら銀行の保有株の譲渡問題が解決したことは、個人投資家の目から見ても分かりやすい好材料として歓迎されているようだ」としている。
さらに、ネットゲームを本格展開するという追加的な支援材料も飛び出した。ソフトバンクグループは3日、日本と韓国のオンラインゲーム数百種類を一度に提供するポータルサイト「BB Games」を今月25日に開始、パソコン用ネットゲームの事業を本格化させると発表したのだ。孫正義社長は「オンラインゲームのナンバーワンサイトを目指す」と意気込んでいる。また、最近の株価の上昇に伴ってカラ売りが急増し、信用取引の売り残高が増え、取り組みが拮抗していることも株価上昇に拍車を掛ける結果となっているようだ。
しかし、一方ではあまりにも短期間での株価の急騰に対して、警鐘を鳴らす見方も根強い。例えば、リーマン・ブラザーズ証券は1日付のレポートで、投資判断を「アンダーウェート(弱気)」としたうえで、今後12カ月間でのソフトバンクの目標株価を1050円としたきわめて悲観的な見解を打ち出している。リーマン・ブラザーズのレポートでは「ソフトバンクが注力するADSL事業業界全体の加入者の伸びが減速しているといったリスクを十分に反映していない」と指摘している。
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