米Intelベースのサーバー上で複数のオペレーティングシステム(OS)を同時稼動できるソフトウェアを開発している米VMwareは、ソフトウェアの機能を拡充し、事業についてもより大胆な野望を表明した。
VMwareは6月30日(米国時間)、新Control Centerソフトウェアを発表した。このソフトウェアは、「仮想マシン」と呼ばれるOSインスタンスを、あるサーバから別のサーバに移動でき、しかもその間仮想マシンは稼動しつづけているというもの。また、同社最高経営責任者(CEO)のDiane Greeneは2日に行われたインタビューのなかで、同社が株式公開を計画していることを明らかにした。
「我々はものすごく好調だ。現在IPOに向けて着々と進んでいる」とGreene。同社サーバ製品の売上の伸びは、「昨年100%を超えた」という。
仮想化とは、ソフトウェアを、それが稼動しているハードウェアから分離することで、コンピューティング分野では確立されたコンセプトだ。米IBMや米Hewlett-Packard(HP)、米Microsoft、米EMC、米Sun Microsystemsなどの企業は、複数のサーバやストレージシステムをリンクして処理能力をプールする方法に取り組んでおり、最近、仮想化に対する関心を急速に高めている。
仮想化は、こうした取り組みにおいて重要な位置を占めている。仮想化によって、管理者や自動管理ソフトウェアは、あるハードウェアシステムから別のシステムに、コンピューティングタスクを簡単に移動できるようになるので、ハードウェアのアップグレードや、特定タスクへの処理能力の割り当て、機器故障への対応など、システムへの変更を施しやすくなる。
VMwareはIntelサーバ用のソフトウェア販売およびサポートで、IBMや米Dell Computer、NEC、HPなどのメーカーと提携している。同社は最初、ワークステーション用の仮想マシンソフトを販売していたが、現在、売上に占める割合はサーバ製品のほうが多いとGreeneは述べている。
「VMwareは、Intelベースの仮想パーティション分割における最も重要なプレイヤーだ」と米RedMonkのアナリストJames Governorは言う。VMwareの製品は、IBMのオンデマンド計画や自己修復サーバ構想に非常によく合致するため、Governorは、IBMがVMware買収に関心があるのではと推測している。
「VMWareは、買収コストは安くないかもしれないが、戦略的に非常に重要だ。IBMが買収しなければ、どこか他の企業が買収してしまうかもしれない」(Governor)
これに対しGreeneは、同社は自力でうまくやっていけると述べている。
Microsoftは一時、VMwareの買収に関心を示していたが、結局今年2月に、VMwareではなく同社のライバル、米Connectixを買収した。GreeneはMicrosoftがVMwareの買収を試みたことは認めたが、詳細は明らかにしなかった。
WindowsマシンだけでなくLinuxマシン上でも仮想マシンを稼動したいというニーズがある上、MicrosoftがConnectixの技術を統合するまでに時間がかかることから、MicrosoftとVMwareとの競争はそれほど熾烈にはならないだろう、とGovernorは言う。それに「VMwareは、開発でConnectixを大きくリードしている」(Governor)
しかしGovernorは、「長期的には、Microsoft製品はどれも重大な脅威となる」とも述べた。
VMwareのControl CenterソフトウェアにあるVMotionコンポーネントは、仮想マシンをあるサーバから別のサーバに移動させるコンポーネントだ。Control Centerにはこの他にも、管理者がリモートの管理ソフトウェアからさまざまな仮想マシンのパフォーマンスを監視したり、ある仮想マシンに割り当てられたメモリなどのリソースを変更したり、ある仮想マシンの権限を特定の管理者に委ねたりといったことを実現するコンポーネントが含まれている。
VMwareの話によると、Control Centerは現在ベータテスト段階で、2003年中に発売が予定されているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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