企業のIT管理者は、Linux導入計画を進める一方で、LinuxがSCO Groupの著作権を侵害しているとのSCOの訴えがどんな法的意味合いを持つかについて、神経質に答えを探し求めている。
ここ数年、企業はコスト削減を図っており、またLinuxの機能も改善していることから、Linuxは企業向けサーバー分野で確固たる足掛かりを得ている。
しかしIT管理者が、SCOとIBMとの法的争いに恐れを感じれば、この好調な勢いが失速してしまう可能性がある。なお両社の争いは、先週MicrosoftがSCOの味方についたことで、さらにエスカレートしている。
Linux導入に際しては特に慎重になるように、企業に向けてアドバイスしているIT調査アナリストもすでにいる。「SCOの訴えの真偽、およびそれを踏まえた判断結果が明らかになるまでは、複雑でミッションクリティカルなシステムでのLinux利用を最小限に留めるべきだ」と、調査会社Gartnerは先週発表した報告書に記している。同社は、争いが解決するまでに1年以上かかる可能性がある、とも付け加えている。
またGartnerでは、、会社の法務部のアドバイスを求め、Linuxなどのオープンソース・コードに「適切な配慮」をするよう、IT管理者に勧めている。
IT管理者のなかには、Linux導入計画を進める一方で、同時に法律的アドバイスを求めつつ、状況を注意深く見守りながら、企業幹部と活発に議論している、という者もいる。
「われわれは、この件をとことん研究して、厳重に状況を見張り、そして全ての知的所有権を必ず遵守するよう、あらゆる手を尽くしていく」とBurlington Coat Factoryの最高情報責任者(CIO)Mike Princeは述べている。「しかしながら、われわれが(なにか知的所有権を侵害しているとは)思わないし、またSCO側でもわれわれが侵害していると証明できるとは考えていないだろう」(Prince)
また、SCOの訴えのなかで、Linuxのなかに存在するとされる「IBMがSCOのUnix技術をコピーした」部分について、その詳細が明らかにされない限り、なにも手がつけられないというIT管理者もいる。SCOは、当該部分の詳細は法廷で明らかにするほか、機密保持規約を結んだ信頼できる第三者に公表する計画だと述べている。
すでにLinuxに投資している企業の多くは、SCOを軽蔑するかもしれない。しかし、Linux導入を検討しているが、まだ実施に踏み切っていない企業にとっては、SCOの訴えによる騒ぎで混乱が生じてしまうだろう。この訴訟で生じた、いわゆる恐れや不確かさや疑念によって、オープンソース・ソフトウェアの開発や普及のペースが鈍ってしまうかもしれない、と述べるIT管理者もいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス