Blog(ブログ)制作ツール「Movable Type(ムーバブル・タイプ)」の開発を手掛ける米Six Apartは米国時間4月23日、日本のネオテニーからの投資受け入れ、「TypePad(「タイプ・パッド)」と呼ぶブログ・ホスティング・サービスを始めると発表した。
TypePadは、Movable Typeをベースに開発したサービス。テキスト、写真、各種メディアコンテンツを統合したブログパブリッシングが可能になる。「ブログの作者に対し、多様な使い方が可能なアーカイブ、統合コメント機能、複数テンプレートを用いたカスタマイズ可能なデザイン機能を提供する」(Six Apart)。
TypePadのベータ版は5月に公開する予定。またSix Apartは同日より関連情報の請求受付を始めた。同社ウェブサイトで登録すると、ベータ版、料金体系、各種機能などに関する詳細情報を電子メールで受け取れる。
日本のネオテニーが出資またSix Apartは同日、ベンチャーキャピタルなど外部からの出資を初めて受け入れ、経営体制を強化したことも明らかにした。今回の出資に参加したのは日本のベンチャーキャピタル、ネオテニーと米PayPalの創業者のReid Hoffman氏。出資金額、出資比率などについては明らかにしていない。
新経営陣にはAnil Dash氏を事業開発担当副社長に、Mena Trott氏を会長兼CEOに、Benjamin Trott氏をCTOに、Reid Hoffman氏とBarak Berkowitz氏を取締役に指名した。Anil Dash氏は今後、Movable Type製品群、TypePadの事業パートナー開拓を担当する。Reid Hoffman氏は、米PayPalの創業メンバーで、同社の元筆頭副社長でもあった人物。今回、共同出資者としてSix Apartの取締役に就任した。Barak Berkowitz氏はネオテニーの米国代表。米General Magicの上級副社長、米Go Networkの筆頭副社長、米Logitech米州担当部長などを歴任した人物である。米Apple Computer、米Macy'sにも在籍していた。
TypePadの狙いはユーザーベースの拡大Six Apartがネオテニーから出資を受け入れ、MovableTypeのホスティングサービスに乗り出す理由はユーザーベースの拡大にある。
「米国ではBloggerのBlogSpotのように簡単に使えるブログのパブリッシングサービスやホスティングサービスに対する需要が大きい。MovableTypeの機能性に対するユーザーからの評価は非常に高いが、サーバー用のソフトウェアしか提供していなかったことがネックになってユーザー数を増やすことができなかった。今回のホスティングサービスの提供で一気に一般コンシューマーへのリーチを拡大できる」とネオテニー事業企画部の南一哉マネージャーは言う。
Six Apartではユーザーベースの拡大が商業的な成功につながると考えている。南氏は「詳しい成長戦略は明かせない」としながらも、「この分野には非常にビジネスチャンスがあると考えており、まずは有料のホスティングサービスとして早い段階で黒字化させる」と語る。南氏によれば「MovableTypeは機能的にも優れているし、ホスティングがあれば使いたいという要望もかなり寄せられてる。ブログは書き込んだデータが蓄積されていく仕組みなので、一度つかんだユーザーは離れにくい。運営コストも低いので黒字化するのは難しくない」とのことだ。
米国では検索エンジン大手のGoogleが2月にブログパブリッシングサービスのBloggerを運営するPyra Labs.を買収しており、この分野へのビジネスサイドからの注目が高まっている。なお、Bloggerも5月中に新しいシステムのリリースを予定している。
ネオテニーに掲載のプレスリリース
http://blog.neoteny.com/neoteny/jp/archives/004995.html#004995
http://blog.neoteny.com/neoteny/jp/archives/004994.html#004994
Six Apartに掲載のプレスリリース
http://www.sixapart.com/press/six_apart_ltd_announces_new_weblogg.shtml
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