Cisco Systemsは米国時間9月2日、ワイヤレスセンサネットワーク構築を手がける株式非公開企業Arch Rockを買収する意向を明らかにした。これはCiscoのスマートグリッドおよびデータセンター事業を強化する動きだ。
サンフランシスコを拠点とするArch Rockは、IPベースのワイヤレスセンサ、ルータ、サーバで構成されるメッシュネットワークから情報を収集するシステムを手がけている。同社のセンサはデータセンターや建物に配置され、熱などの環境の状態を監視して冷却機能を最適化するとともに、全体的なエネルギー効率を改善する。
買収の金銭的条件は明らかにされなかった。
Arch Rockはまた、「PhyNet-Grid」と呼ばれる電力会社向けの無線通信システムも開発している。このシステムは、無線ベースのArch Rockのセンサを使って、電力会社のネットワークを介してそれぞれのデータセンターとの間で情報をやり取りするよう設計されている。この無線通信機能を、サーモスタットやCiscoが開発する家庭用エネルギー制御装置「Home Energy Controller」に組み込むことも可能だ。
Ciscoは、Arch RockのIPv6ベースのワイヤレスセンサを、同社のスマートグリッド製品群の一部として利用する意向を表明した。CiscoでSmart Grid事業部門のゼネラルマネージャーを務めるLaura Ipsen氏は声明の中で、「今回の買収により当社は、電力会社の戦略的パートナーとしての地位をさらに強化できる」と述べている。
Arch Rockは小規模な会社だが、送電線上のスマートメーターおよびセンサなど、電力会社のネットワークを介して送電網用の機器を接続するためのハードウェアを提供しており、その技術はCiscoのスマートグリッド戦略全体において非常に重要な役割を果たす可能性がある。Ciscoはすでに、電力会社の変電所からデータを送信するためのルータやスイッチを開発している。
またCiscoは9月1日、電力メーターの開発を手がけるItronと協力して、メーターから送信された情報を電力会社に戻すのに、プロプライエタリなプロトコルではなくIPを使って通信を行う製品を開発する契約を結んだと発表した。この契約に基づいてItronは、同社のメーター製品と周辺のネットワークにCiscoのIPネットワーキング製品を組み込むことになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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