Intelが、買収対象であるMcAfeeのテクノロジを統合するという約束を果たすことができれば、いずれノートPCやモバイルデバイス向けのアンチウイルスソフトウェアを買わなくてもよくなるかもしれない。米国時間8月19日に複数の専門家がそう述べている。
Intel幹部陣は、セキュリティ企業のMcAfeeを76億8000万ドルで買収する計画を発表した際、セキュリティがコンピューティングにおいてパフォーマンスや接続性と同様に極めて重要だと考えていること、そして、セキュリティとIntel製ハードウェアを組み合わせて、モバイル市場への進出をさらに拡大していく計画であることを明らかにした。
専門家が米CNETに述べたところによると、Intelは多くの機能をチップに詰め込んできたが、McAfeeの買収は、同セキュリティ企業の従来の製品戦略を転換することを示しているという。
「McAfeeはこれまで、安全でないプラットフォームに対するアドオンソフトウェア製品という形でセキュリティテクノロジを提供してきたが、Intelの製品とプラットフォームにセキュリティをもたらすということは、McAfeeの従来のやり方を大きく変えるということだ。これがセキュリティを組み込むべき場所だ」。Veracodeの最高技術責任者(CTO)Chris Wysopal氏はこのように述べる。
この戦略は、モバイルデバイスの急速な普及や、堅牢なクラウドコンピューティングへの移行といった動きにうまく沿ったものだとWysopal氏は言う。クラウドコンピューティングでは、データはローカルのコンピュータではなくリモートのサーバに保存され、インターネット経由でアクセスされる。
「今回の買収は、モバイルが普及して、クラウドへの移行が加速し、あらゆるものが常時接続されている今の世界において、セキュリティが極めて重要であることを示していると思う。ハードウェアとソフトウェアを構築するすべての人は、設計の最初の段階からそれらの製品のセキュリティについて考える必要があり、顧客はそれを求めるようになる。少しでも怠ってしまうと、今日のコンピューティング環境では受け入れられないだろう」(Wysopal氏)
モバイルセキュリティ市場の企業は今回の買収を、自分たちが正しい方向に向かっているということをさらに裏付けるものと見なしている。
Lookoutの最高経営責任者(CEO)であるJohn Hering氏は、「IntelのMcAfee買収は、われわれが重要データを入れてもよいと信頼しているデバイス群にスマートフォンなどの接続型デバイスが加わろうとしていること、そして、これらのデバイスを保護する必要があることを業界に示している。主要なモバイルプラットフォームで脅威が拡大しており、モバイルデバイスが支配的なコンピューティングプラットフォームになっていくにつれて、その傾向が大きくなっていくものと思われる」と話す。
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