Symantecは米国時間3月1日、医療機関が手持ちの医療記録を保存、保管、共有できるホスティングサービスを開始することを発表した。
Symantecの新サービス「Symantec Health」は、病院や医療関連企業が、医療記録の保管にかかるコストと社内資源の負担を軽減できるようにすることが目的だ。医療関連企業は、臨床試験結果のような画像ベースのファイルを数多く、しかも長期間保管せざるを得なくなっているため、その保管コストは大幅に増加しているとSymantecは言う。Symantec Healthサービスは、代わりとなるクラウドベースのストレージ環境を提供するもので、企業は必要な分だけの予算を立てて代金を支払うことができる。
またこのサービスでは、医療記録や医用画像をインターネット経由で病院や医師と共有することができる。現在多くの医療機関や企業が医療記録を送るためにCDやDVDを使用しており、これはその代わりとなるものだ。
Symantec Healthサービスは、「Symantec Health Safe」と「Symantec Health Image Share」という2種類のサービスで構成されている。Symantec Health Safeは画像の保管を行うためのもので、Symantecによれば、画像を安全に保護するのに必要なセキュリティを確保しているという。一方の「Symantec Health Image Share」はファイル共有を行うためのもので、医療機関は保管された記録にアクセスして表示できるようになる。
Symantecでは、この新しいサービスを、病院が高額な医療コストに対処できるようにするための新たなテクノロジと捉えている。同社が引用した2009年6月発表の業界レポートによれば、医用画像ファイルの平均サイズは数十Mバイトから数百Mバイトにまで及んでいるという。その結果、医療機関における画像保管のニーズは年間で20%から40%跳ね上がっており、ストレージ機器の価格が下がっているにもかかわらずコストを増加させている。
「医療関係のIT幹部らはつねに、医用画像の保管にかかわるコストの増大を、直面する最大級の困難の1つだと指摘している」と、Symantecのバイスプレジデントで、電子医療グループ担当ゼネラルマネージャーを務めるLori Wright氏は声明の中で述べている。
Symantec Healthが提供するストレージは、病院の医療記録や医用画像が増えるのに合わせて拡大できる。Symantecによれば、将来のニーズに合わせた予算を算出できる分析機能も提供するという。Symantecはまた、事業がセキュリティの問題やその他の問題に悩まされている状況であっても、このストレージは安全に利用できると強調している。医師や権限をもつ職員なら、ウェブ経由で医用画像を検索し、表示したりダウンロードしたりできるようになる。
Symantec Health Safeは、医療機関向けにすでにサービスを開始しているが、Symantec Health Image Shareはサービス開始までにあと数週間かかる見込みだ。
成長しつつある医療テクノロジ市場への進出に意欲的な企業は増えており、Symantec Healthの開始によってSymantecもその仲間入りをする。医療記録のデジタル化と共有は、医療機関にとって重大な戦略であり、高騰する医療費を少しでも削減できると業界が期待している戦略の1つでもある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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