モバイルコンテンツのカンファレンスイベント「MCFモバイルコンファレンス2009(mobidec2009)」に、KDDI コンテンツ・ビジネス本部 ビジネスコンテンツ部長である竹之内剛氏が登場。auのモバイルコンテンツ・メディア戦略の現状と今後を語った。
現在のauの状況について竹之内氏は、モバイルデータ通信やスマートフォンへの取り組みが遅れていることから純増数では伸び悩んでいるものの、IP接続サービス契約の純増数は好調を維持していると話す。1ユーザーあたりのコンテンツ利用額は月額550円を超え、データARPUも上昇基調にあるという。
都道府県別のコンテンツ利用特性について見ると、着うたフルやゲームなどあらゆる分野のコンテンツで、東北地方の県が利用額の上位を占める傾向があるという。次いで四国、九州などの地域が上位に来ることが多いといい、今後は各地域の嗜好を反映したコンテンツが必要になってくるとの見解を示した。
デジタルコンテンツにおいては、ナビゲーションなどの実用系サービス、コミュニケーションサービス、電子書籍の3つが成長分野になっているという。中でもコミュニケーションサービスや電子書籍は20〜30代の女性の利用が多く、これまでのモバイルサービスとは動向が大きく違うのこと。電子書籍は好調に利用が伸びているうえ、課金ユーザーの解約率が低く、継続性が高いという特徴があるという。これまではコミックに人気が集中していたが、今後は10代限定の文学賞「蒼き賞」をTOKYO FMや幻冬舎と共同開催するなどして、他ジャンルの利用も拡大したいとした。
auは独自のコンテンツプラットフォームに力を入れている。これまで音楽・映像のブランドであった「LISMO」は、電子書籍を組み入れることでエンターテインメントの総合ブランドとして展開していくという。これら3つのコンテンツは個別ではなく、パッケージとしてまとめて提供することで利用を促進していく方針だ。
また、近年力を注いでいる「au Smart Sports」については、従来ランニングのみであったスポーツのジャンルを、フィットネスやゴルフなどさまざまな分野へと広げた。これにより、現在では150万の会員を抱えるプラットフォームへと成長しているという。それゆえ竹之内氏は、美容・健康などに興味の高いau Smart Sportsユーザーに適したコンテンツや商品を提供するなどして、コンテンツプロバイダーにも活用してもらいたいとの考えを示した。
他にも、情報提供量がアップした「EZニュースEX」や、携帯電話の電話番号で口座取引ができる「じぶん銀行」などがあり、それぞれを1つのプラットフォームとしてコンテンツプロバイダーにぜひ活用してもらいたいと話した。
ただ、携帯電話端末は販売数が頭打ちになっており、端末の買い替えサイクルも長期化している。こういった事業環境の変化はモバイルコンテンツ市場にも影響を及ぼしており、従来と同じ取り組みでは今後の成長は難しくなると竹之内氏は言う。
このためKDDIでは、リアル店舗との連携や地域別コンテンツの提供などによる「お客様とのタッチポイントの強化」、従来の垂直統合によるサービスをオープンデバイスでも展開する「オープン領域へのビジネス拡大」、そしてモバイル分野の企業との提携や、GPSなどの機能を解放することによる「パートナーシップの一層の推進」の3つに取り組んでいく。ただ、竹之内氏によるとコンテンツプロバイダーからは古いプラットフォームへの提案が多いといい、今後は新しいプラットフォームを活用した新たな取り組みが必要とのことだ。
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