「iPad」が、登場するまでの常軌を逸した大騒ぎに見合うものかどうかを判断するのはまだ早過ぎるが、iPadはAppleがこれまでに作ったどの製品にもまして、Appleらしい製品だ。
iPadは、ほぼ完全に自社開発の技術であることや、「iTunes」メディアハブに書籍を追加したこと、スマートフォンとノートブックの中間というカテゴリでリスクを負っていることまで、さまざまな意味でAppleの姿を完成させるものだ。
Steve Jobs氏は米国時間1月27日、Appleの最新デバイスを形容するのに「革命的」という言葉を使った。それはかなり言い過ぎだが、iPadは確かにAppleの発展の縮図だ。Jobs氏は27日にタブレットを紹介する前から、Appleの主な3つの収入源を育てている。「iPod」「iPhone」「Mac」によって、Appleは500億ドル規模の企業になった。同氏は、「iMac」などのデスクトップコンピュータを実質的に度外視して(デスクトップはこのところ低迷が続いているので、それも納得できる)、Appleの現状について次のように主張した。同社は「モバイルデバイス企業であり、それこそがわれわれの仕事だ」という。
はっきりとは言わなかったが、Jobs氏が意図していたのは、Appleはコンピュータ企業ではなく(同社は2007年に社名から「Computer」を取り除いた)、単なるハードウェアとソフトウェアのメーカーでもないということだ。Appleが作っているのは、わずかな例外はあるが、メディア中心の携帯デバイスであり、その中でも、iPadはAppleの事業のすべてを1つにまとめるものだ。
AppleはiPadによって、同社の製品ラインを完成させ、同社を世界の、すなわちメディアとテクノロジの、車輪のスポークになるべく前進させるデバイスを手に入れた。スマートフォンとノートブックの間に収まる何かを作るというのは、ここ10年以上にわたってコンシューマーテクノロジ業界の目標だった。その最近の試みがネットブックだ。iPadによって、ネットブックはすぐに、退屈で面白みがなく、コンピュータという旧来の形態に近すぎるものと思われるようになるだろう。iPadは別の路線をとっている。つまり、iPhoneには重過ぎる荷を引き受け、それを、ポケットサイズではないが、13インチや15インチのノートブックよりは持ち運びに便利なデバイスに詰め込んでいる。
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