ニワンゴは11月28日、テレビ放送にリアルタイムにコメントを同期させて楽しむサービス「ニコニコ実況」を開始した。ウェブ動画にコメントを付けられる「ニコニコ動画(9)」のコメントの部分だけをテレビにも応用した新サービスだ。
ニコニコ実況は地デジ放送を視聴できるPCに、専用のアプリケーション「ニコニコ実況プレイヤー」をインストールして利用する。対応OSはWindows XP/Windows Vista/Windows 7。地デジチューナーを起動し、それにコメントを表示するニコニコ実況プレイヤーを重ね、映像とコメントを一体化させるイメージだ。7月24日から2度のテスト公開を実施し、関東圏の野球中継でサービスを検証した。
「ニコニコ動画のコメントの部分を僕らは『ニコニコする』と呼んでいるんですが、ニコニコ実況はそれをフレームワークとして提供するアプリケーションです。外部の動画でもニコニコできるようになりました」とニワンゴ代表取締役の杉本誠司氏は説明する。
地デジチューナーでチャンネルを選び、ニコニコ実況アプリケーションでも同じチャンネルを選ぶと、地デジの映像に実況中継という形でコメントを流せる。ニコニコ動画のようなインターフェースがテレビ放送でも実現できることになる。
「過去ログ」というページにアクセスすると、日付や時間を指定して、過去のコメントを閲覧できる。そのときの番組をPCに録画してあれば、過去の番組でも実況コメントつきで楽しめる。過去ログの視聴画面下にはコメントの増減を表す「勢いグラフ」が表示されているため、盛り上がっているタイミングがわかる。なお、「昨日のハイライト」というコーナーでは、前日に寄せられたコメントがもっとも多かったテレビ局と時間帯をランキング形式で表示する。
ニコニコ実況対応テレビも発売される。12月発売予定のテレビ「ROBRO-TV」にはニコニコ実況のチャンネルが用意される。開発元のカテンザとニワンゴが提携し、リモコンで選択するだけでコメントが流れるテレビ番組を視聴できるようにした。ROBRO-TVは見た目はテレビだが、実際はWindows上で地デジチューナーを起動する、いわゆるPCだ。
ニコニコ実況は、ニコニコ動画のウェブサービスに依存せず、いろいろなデバイス、コンテンツでニコニコ動画を体験できるようにする。その狙いの1つは、「ニコニコ動画に対するロイヤリティを上げること」(杉本氏)。よりニコニコ動画に親しみを持ってもらうきっかけになるとの考えだ。
なおニコニコ実況で流れるコメントは、ニコニコ実況から入力されたコメントと、2ちゃんねるの実況板で入力されたコメントの2種類がある。
「ニコニコ実況アプリケーションは背景が透過するので、コメントだけが地デジの画面の上にぺたっとくっついた状態になる。これにより地デジの放送がニコニコしている状態で見られます」(杉本氏)。ただし、地デジ放送とコメントはそれぞれ別アプリとして動くため、テレビ放送の内容を改変するものではないという。あくまでユーザーが地デジ放送閲覧用のアプリケーションとニコニコ実況アプリケーションを重ねているに過ぎない。
コメントするだけ、あるいはコメントを確認するだけならば、PCに地デジチューナーが付属している必要はない。地デジチューナー起動時の一体感は得られないものの、自宅のテレビを確認しつつ、黒い背景にコメントが流れるのを確認したり、コメントを入力したりすることはできる。これは2ちゃんねるのテレビ番組実況と同じ使い方だ。
ニコニコ実況の開始により、許諾の関係でニコニコ動画の本サイトでは提供できないようなコンテンツと連携できるようになったと杉本氏は語る。もっとも盛り上がると考えられるのは、やはりスポーツ中継だ。
「スポーツはしがらみがありすぎて、もはやニコニコ動画では連動できない。でもニコニコ実況では、アプリとテレビが完全に別で動いていることが幸いしてみんなで盛り上がれると思います。あるいは年末の歌番組の新しい楽しみ方も出てきそうです」(杉本氏)
だが意外なテレビ番組が楽しめることもわかった。
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