電気自動車がもたらす環境上の利点に対して、ドイツで疑問の声が上がっている。疑問を呈しているのは、意外なことに環境保護団体だ。しかし米国の電気自動車ロビー団体は、そのリスクは米国には当てはまらないと主張している。
環境保護団体である世界自然保護基金(WWF)のドイツ支部は、未来のエネルギーシステムを研究するドイツの機関IZESと協力して、同国における電気自動車による環境への影響について研究を行った。
ドイツは、米国と同様に、電気自動車の導入について野心的な目標を設定している。現在4100万台の自動車があるドイツでは、2020年までに100万台の電気自動車またはプラグインハイブリッド車を導入することを目指している。今回の研究の結論は、これらの電気自動車によって削減される温室効果ガスの量はごくわずかにすぎないというものだ。
この研究は2009年3月にドイツで公開されているが、英語版はまだ広く配布されてはいない。WWFドイツによると、英語版の概要を2009年夏に発行する予定だという。
「驚いたのは、二酸化炭素の削減量が非常に小さいことだった」。WWFドイツの自動車専門家Viviane Raddatz氏はベルリンからの電話インタビューでこのように述べた。
WWFの最良のシナリオでは、100万台の電気自動車またはプラグインハイブリッド車が再生可能な電力で走行し、かつ航続距離が最長であることを想定している。電気自動車は、現時点ではまだ通常の自動車の航続距離には達していない。
同研究によると、この100万台の電気自動車によりドイツの交通運輸の分野で削減される二酸化炭素排出量はわずか1%で、ドイツ全体での二酸化炭素排出量の削減は0.1%にとどまるという。Raddatz氏は「大きな数字とはいえない」と述べ、「交通機関からの大量の排出量という問題の解決には役立たない」と付け加える。
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