一見したところ音楽レーベルWarner Music Groupの出版部門であるWarner/Chappell Musicと契約を結んだのは、SpiralFrogにとって大躍進のように見えるかもしれない。
Warner Musicは4大レコード会社の1つである。一方、SpiralFrogは先週ウェブ上で第3位の音楽ダウンロードサイトであると主張したが、過去5年にわたって広告収入型ビジネスモデルの健全性を大手レーベルに納得させるのに苦労してきた。しかし、これまでSpiralFrogは4大レーベルの1つであるUniversal Music Groupと楽曲を提供する完全な権利に関する契約を結んでいる。
SpiralFrogが米国時間3月31日に発表したWarner/Chappellとのライセンス契約で残念なのは、SpiralFrogがJames Blunt、Green Day、Linkin ParkなどのWarner Music所属アーティストの楽曲を実際に提供できるようになるのが何年も先になるかもしれないということだ。その理由はSpiralFrogが楽曲を提供するためには、楽曲の出版権に加えて録音権も取得しなければならないためだ。
例えば、SpiralFrogは1年半前にEMIの出版部門と契約を結んだが、サイト上にはEMIの楽曲はまだ1曲もない。録音権がないためだ。もしあなたがSpiralFrogから何か実質的な成果を得ようと思っているなら、的外れだ。この会社が観察対象としてきわめて興味深い理由は、いつまでたっても実質的に楽曲を提供することなく言い訳に終始しているからだ。最新の例はSpiralFrogの創設者兼会長であるJoe Mohen氏が28日にサンフランシスコにやってきて筆者と会ったときのことだ。筆者は会合の目的はSpiralFrogの次回の決算発表について話をすることだと思い込んでいた。
SpiralFrogは以前にも決算を発表したことがあるが、今週、12月31日締めの四半期の決算を発表することになっていた。音楽ファン、ジャーナリスト、事情通の人々にとっては、9月に開始されたサービスの運営状況が最初の4四半期を経過してどのような状態なのか、ついに垣間見るチャンスがやってくることになっていた。SpiralFrogは2006年、広告付き楽曲ダウンロードを提供することによって違法なファイル共有を相手に競争する計画を発表し、大いに注目を集めた。このビジネスモデルは実験的なものであり、その当時レコードレーベル各社は、海賊行為に代わる合法的な楽曲の提供方法を必死に探し求めているように思われた。
筆者がMohen氏と会合したときには、席に着くか着かないうちにSpiralFrogの広報部門の人々が恥ずかしそうに、その日のうちに米証券取引委員会(SEC)にForm 15申請書を提出する予定だと語った。つまり、SpiralFrogは今後一切、決算を公表しなくなるということだ。
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