高校2年生のRyanは、昨年11月、学校のPCに導入されているウェブフィルタの裏をかく方法を編み出し、コンピュータ室で「宿題」をしながら、MySpace.comの立ち入り禁止区域にアクセスしていた。
その後、ある教師が「Ryan」の使っていたPCの画面上に、ソーシャルネットワークのページが表示されているのと見つけた。Ryanとは、オレゴン州フェニックスという人口約5000人の小さな町の学校に通う、実在の生徒の架空名である。この教師からこの出来事について知らされた校内の技術専門家はその後、学校のネットワーク経由でオンラインに出たRyanの足取りを追跡してみた。
Ryanは、自宅のコンピュータでいわゆるウェブプロキシ(サーバ)を立ち上げ、学校にいても自宅のウェブアドレス経由でMySpace.comなどの禁止サイトにアクセスできるようにした。こうすれば、学校側がフィルタソフトを使っていても、その裏をかくことができる。(ウェブプロキシまたはCGIプロキシとは、利用者がそれを通じて、他のサイトにアクセスすることを可能にするウェブサイトあるいはアプリケーション)
「私はその後、Ryanが使っていたIPアドレスを突き止めたので、Ryanはもうこの手は使えなくなった」とPhenix-Talent School Disctrictの技術コーディネータを務めるDon Wolff氏は述べている。ちなみに、Ryanにはとくに処分はなかったという。「これはわが校の利用規定に反するが、生徒はこのような企みを今後も続けるだろうし、われわれも(このようにして)学ぶことができる」(Wolff氏)
「ウェブフィルタの抜け道をみつけることは、若者の間で最も新しい流行となっている」とWolff氏は言う。
ウェブプロキシは、トラフィックを匿名のドメイン名によりルーティングしたり、コンテンツフィルタを迂回する手段として、インターネットの初期から存在するものだ。ただしそれは、長い間、企業のネットワーク管理者やプライバシー保護をはかろうとする技術に精通した人々の領域であった。ところが現在では、ますます多くのティーンエージャーが学校のウェブフィルタを回避するために、ウェブ上の無料のプロキシに加え、家庭のPCにもプロキシを設定するようになっていると、学校やコンテンツフィルタリング技術を扱うベンダー各社は述べている。
プロキシは、学校でアクセスを禁じられたサイトにアクセスするために、若者が利用する数多くの裏技のひとつに過ぎない。いつの時代にも、若者は禁じられたものの鍵を開けようとするものだ。現代では、PCに対する規制を強化する学校が増えてきており、生徒たちがファイル共有やインスタントメッセージング(IM)、ソーシャルネットワーキング(SNS)を利用したり、オンラインにある望ましくない情報に触れたりすることを阻止しようとするなかで、生徒側でもますます巧妙な手を使ってこうした制限の裏をかくようになっていると、技術専門家らは述べている。 Googleはダントツの人気を誇る検索サービスだが、同サイトには「セーフサーチ」という機能が付いている。この機能をつかえば、アダルトコンテンツをフィルタリングし、遮断することができる。しかし生徒は「キャッシュ」された情報へのリンクもしくはサムネール画像から、こうしたフィルタ機能を迂回し、不適切な情報を見ることができると専門家らは述べている。また、ティーンエージャーは誤ったつづりの言葉や最近のスラングを入力することでフィルタを回避し、きわどい情報へのリンクを見つけ出すことができる。BabelfishやGoogle Tranlsateといった翻訳サイトを使えば、Playboy.comなどのサイトを他の言語から翻訳することも可能だ。
「常に戦いが続くことになるだろう。何を用意しても、生徒たちが抜け道を探そうとするからだ」と、カリフォルニア州スコッツバレーのスクールカウンセラーを務めるLynn Beebe氏は言う。同氏の学校は、特定のサイトだけでなく、例えば「blog」という言葉または件名が入ったサイトはすべてブロックするフィルタを使用している。
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