ウェブ上で大人気のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)だが、検索大手のGoogleはその波に1人乗り遅れたように見える。これはGoogleの賢い戦略なのだろうか。それとも単に鈍感なだけなのか。
MySpace.com、Facebook.comなどのSNSサイトは、アクセス数が爆発的に上昇し、若者たちに大受けしていることにすっかり気をよくしている。数百万の若者たちがこうしたサイトに押し寄せ、写真、動画、ブログ、メール、インスタントメッセージングなどのツールを使って交流関係を広げている。一方、MSNやYahooなどの主要ポータルでも、人気サイトランキングトップの座をMySpaceに奪われるのではとの危機感から、ソーシャルネットワーキング周りのアプリケーションの整備を始めた。
しかし、サービスを開始して2年になるGoogleのソーシャルネットワーキングサービス「Orkut」は、共通の興味を持つ友人や、友人の友人とつながるという当たり前の機能だけで、ブログや動画といった機能をいまだに提供しておらず、人気という点で遅れをとっている。OrkutはGoogle標準のサービスになっているわけでもなく、サービス名にもGoogleという名前が付いていない。「Googleにとって問題児であることが判明したため、今は様子を見ているところなのだろう」と『The Google Legacy』の著者Stephen Arnold氏はいう。同氏のいう問題とは、Orkutのコンテンツがギャング関連の活動に利用されているとの批判的な指摘をブラジル政府などから受けていることを指している。
しかし、Googleがいろいろと新しいサ―ビスを考案しては、へたにいじり回している間に、他社はGoogleの既存のサービス領域への侵略を着々と進めている。
たとえば、2003年2月にGoogleに買収されたBloggerは、当時、ウェブ上でトップクラスのブログ作成サービスだった。Googleはこれを完全なソーシャルネットワークサービスには育てなかったが、Nielsen//NetRatingsはブログをソーシャルネットワーク的なサービスとみなしていた。
Nielsenの調査によると、2005年、メンバーの個人ページにブログを採り入れたMySpaceは、Bloggerを抜いて米国内でソーシャルネットワーキングサイト1位の座についた。2006年5月の時点で、Bloggerのユニークビジター数は2000万人で、前年同月比で67%のアップとなっている。一方、MySpaceは4200万人のユニークビジターを獲得しており、前年同月比で329%アップを達成している(いずれもNielsen調べ)。
Orkutというと、Nielsenの調査締め切り時点で、わずか30万のユニークビジターしか獲得していない。
Googleにメールで問い合わせたところ、「BloggerやGoogle Video、そしてOrkutを通してソーシャルネットワーキングサービスに積極的に取り組んでいる」という返事が返ってきた。「Googleは、価値があるとにらめばこれまでどおり各種サービスの統合化を進め、最高のユーザーエクスペリエンスを提供していく。Gmail然り、Google Talk然りだ」と同社の広報担当は語る。
もちろん、「Googleは抜け目がないから、年間売上げ60億ドルにも上る同社の検索および広告ビジネスにとって利点があるのかどうかはっきりしないサービスに大規模な投資をしないだけだ」とするGoogle擁護者もいる。同じ擁護派のなかには、「Googleはウェブ検索の効率と広告ワンクリックあたりの利益率を向上できるテクノロジにしか投資するつもりがない」からだと考えたほうが自然だとする意見もある。
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