野外アートフェス「バーニングマン」--今夏のテーマは「地球に優しい」

文:Daniel Terdiman(CNET News.com) 翻訳校正:株式会社アークコミュニケーションズ、瀧野恒子 2007年05月17日 16時00分

 2007年の夏バーニングマンに参加したあなたが砂漠で目にするのは、火柱を噴き上げながらゆっくりと前進する長さ80フィートの巨大なナメクジ状のオブジェ。これはアートか、環境破壊か?

 心配は無用。事実は、環境破壊とは正反対である。「Mechabolic」という名のこのナメクジは、フェスティバルのゴミをクリーンなエネルギーに変える。内部は人が歩けるようになっていて、実際に処理が行われている様子を直接見ることができる。アーティストJim Mason氏の作品Mechabolicは、2007年のバーニングマンのテーマ「グリーンマン」のシンボル的作品だ。クリーンエネルギー、地球に優しい技術、環境に対する責任を称賛する「グリーンマン」というテーマは、主催者側にとってフェスティバルを利用して世界をより良い場所にしたいと真剣に考えていることをアピールする機会でもある。

  バーニングマンの22年の歴史のなかで「初めてはっきりとした政治的なテーマを選ぶべき時がきたように感じられた」と語るのは、このフェスティバルの創設者であり現在はディレクターを務めるLarry Harvey氏。「政党やイデオロギーの中で語られるような意味とは違う。バーニングマンの会場で行っていることを日常の世界でも実行しようというメッセージが、政治的なのだ」

 毎年夏の終わりにネバダ州北部のブラックロック砂漠で開催されるバーニングマンの主催者は、「痕跡を残すな」というミッションを長年にわたって貫いてきた。実際に参加者の多くは、このミッションが目指す最終目標を契機に、フェスティバル会場から去った後も、自分が汚した場所をきれいにするよう心がけるようになったと語っている。

 バーニングマンの考え方はアメリカ全土と世界各地に広がり、80カ所以上でバーニングマン風の地域イベントが開催されるまでになった。しかしそれでもなお、このイベントは一部の人々から偽善のシンボルと見なされている。開催中は砂漠の空に煙と灰を吐き出す数百点ものファイアーアートの作品が作られ、数百万ドル相当の食物と水がリサイクルできないパッケージに入った状態で会場に持ち込まれる。これでは、参加者が痕跡を残さないようにするのは至難の業だ。

 しかし2006年、クーリングマンと名乗るグループが、バーニングマンの中心的なアート作品であり毎年イベントの終盤に焼かれる人間をかたどった木製のオブジェ「The Man」を燃やすときの環境への影響を相殺するために、二酸化炭素の排出権購入に向けた資金集めに乗り出した。

 バーニングマンの環境問題担当コーディネーターTom Price氏によれば、クーリングマンは2007年その最終目標を一歩先に進め、イベント全体の二酸化炭素の排出を相殺する排出権購入に向けた資金集めを行う。Price氏はその目標を達成するためのコストを参加者1人当たり7ドルと試算したが、これが野心的な数字であることは認めている。

 今夏バーニングマンへの参加者が会場の砂漠に到着すると、環境をテーマにしたアート作品やインスタレーションがあふれているのを目にするだろう。なかでも最も目を引くのが、通称「グリーンパビリオン」という建造物だ。「The Man」は、このグリーンパビリオンの上に設置される。

 Price氏によると、グリーンパビリオンは世界の環境技術フェアに等しい。環境分野で最も先進的な仕事をしている企業がこの砂漠に集結するからだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]