シンガポールのメガバンク「DBS」がスタートアップ向けの融資施策を開始

 シンガポールの大手金融機関であるDBSは2月5日、シンガポールにもう1つのシリコンバレーを作ろうとする同国のビジョンを後押しするべく、資金調達の規模を拡大したいテクノロジースタートアップ企業に対象を特化した融資施策「DBS Venture debt」を開始した。

 同社によれば、シンガポールのスタートアップは今日、資金調達の多くをベンチャーキャピタルに依存している状況。今回開始した施策は、事業を軌道に乗せるまでの、主にシリーズA以降の成長ステージにある企業にとって、自分たちの資産を希薄化させることなく、資金を調達できる代替手段となるという。

  • 「DBS Venture debt」の仕組みを解説するインフォグラフィック(DBSが作成)

 DBSは今回の背景について、2014年、シンガポールでベンチャーキャピタルからスタートアップに対し、4億5400万米ドルもの投資が行われたという、新興企業による資金需要をあげた。東南アジアのそのほかの国で行われた投資は、あわせて9億1800万米ドルであることから、同国がその大部分を占めていることが分かる。

 また、2013年にベンチャーキャピタルがシンガポールで行った投資は17億1000万米ドル。中国の34億6000万米ドルには及ばないものの、Asian Venture Capital Journalによれば、日本、韓国、香港を上回っていたという。さらに、同年にシンガポールのテクノロジー企業に対して行われた投資は、政府の資金も含めると、アジアの同業に行われたうちの19%を占めており、2011年の0.3%から大きく上昇していると述べた。

 声明の中で、DBSで中小企業向けの事業を統括するLim Chu Chong氏は、「DBS Venture debtを活用することでスタートアップ企業は時間と柔軟性を手にし、潜在的な企業価値を高めるためのマイルストーンの到達を促すことができる。シンガポールのスタートアップエコシステムを押し上げ、革新的な企業のスケールアップと、より早いペースで収益企業に成長するための一助となることを願っている」とコメントした。

 DBSは2014年、起業家が、専門家や投資家、そのほかの起業家からアドバイスを受けられるスマートフォン向けのアプリ「DBS BusinessClass」を提供するなど、スタートアップ企業の支援に積極的である。こうした大手金融機関などの動きをうけて、これからシンガポールにおいて起業家を目指す機運がますます高まるかもしれない。海外の起業家を同国に誘致することにもつながるだろう。

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