最近、大学で学内のインターネットがつながりづらくなったり、反応が遅くなったりする問題が起きつつある。これには、若者のネット利用の変化が大きく影響している。
法政大学では、年々学内におけるネットの利用料が増加。2015年9月の調査時には、学内サービスや授業で利用する割合は学内のネットワークのうちわずか30%に過ぎなかった。一方、残りの約70%が、YouTubeなどの動画共有サイト、SNS(Facebook、Twitter、LINE、Instagramなど)、ゲームサイトなどへのアクセス、ファイル共有ソフト(BitTorrent、Skypeなど)の私的利用で占められている状態となっていた。
大学は「学業に差し障りが出る」と、2015年11月には不要不急のネット利用は控えるよう求めたものの状況は改善されず、2016年からネット利用の制限を設けている。
立教大学でも、ネットがつながりづらくなったため、2015年6~7月に学内のネット利用を一時的に制限した。制限したのは、App Store、Apple Update、Microsoft Windows Updateへの通信のほか、Twitterのタイムライン閲覧と投稿だ。現在は解除されているが、このような話は珍しくない。
若者たちのネット接続時間は増え続け、彼らはあらゆることをネットの中で済ませようとする。そこに問題はないのだろうか。
東京工科大学の新入生を対象としたコミュニケーションツールなどの利用状況に関するアンケートの結果(2016年5月)によると、友人との連絡手段は「LINE」が98%とほぼ全員が利用していた。そこに「Twitterのメッセージ機能」(40%)が続き、「携帯電話のキャリアメール」(36%)は前年度比12ポイント減となっている。
一方、世の中の動きについて情報を得ているメディアはテレビ(86%)がもっとも多く、次いでTwitter(56%)も半数以上が利用している。このほか、「ニュースサイト」(34%)や「ニュースアプリ」(31%)などのインターネットメディアが、「新聞」(17%)や「雑誌」(11%)を上回っている。
サイバーエージェントの国内動画メディアの接触率調査(2015年8月)によると、10代におけるスマートフォンからの動画接触率は80%であり、テレビ接触率は85%と、10代における動画視聴デバイスはテレビとスマートフォンがほぼ同率となっている。20代においてもスマートフォンからの動画接触率は61%に上り、若い世代はスマートフォンから動画を視聴する傾向にあることがうかがえる。
若者は、情報取得、連絡手段、動画視聴のどの面においても、インターネットをヘビーに利用しているというわけだ。「何よりもスマホが大事」という若者が増えている。これは、あらゆることがスマートフォンで済んでしまい、スマートフォンがないと何もできないことの裏返しだろう。
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