技術に詳しいAlex Strand氏(24歳)は3月に、人気ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のMySpaceに子供が書き込んだプロフィールを監視する、保護者向けのソフトウェアのアイデアを得た。きっかけとなったのは、SNSが子供を狙う変質者と無防備な子供たちの入り交じる場になっていると訴える、一連の報道に接したことだった。
Strand氏のサイト「myspaceWatch.com」は、MySpaceに掲載されているプロフィールの変更やログイン履歴、特定のページに書き込まれたコメントに対し、RSSを利用して利用者に注意を促す「検索エンジンのようなもの」だという。1件のMySpaceプロフィールデータにアクセスするだけなら料金は無料、6ドル払えば5件までのプロフィールを監視できる。
Strand氏によるとサービスの利用者はわずか3800人で、そのうち有料ユーザーは30人だけだとのことで、決して儲かる商売ではなく、むしろ社会的な実験のようなものと言えるだろう。
「親が子供の行動をうまく確認する方法になると思って始めた。だが、子供と直接話をする代わりに、このツールを(監視のための)手段として利用する変わった親も大勢いる。それでは本末転倒だと私は思うのだが」と、自称コンサルタントのStrand氏は電話インタビューの中で語った。
myspaceWatch.comの利用者の半分は保護者で、残り半分のユーザーは主に友だちや自分のMySpaceプロフィールを覗くのに使っていると、Strand氏は推定している。変質者が子供のページを見るためにこのサイトを利用するのではと懸念する声もあるが、「そういう事態にならないよう願っている。しかし実際問題としては、私にもわからない」とStrand氏は言う。
だが、myspaceWatch.comを使っても、MySpace本体にアクセスして入手できるデータ以上のものは手に入れられないとStrand氏は指摘する。さらに、16歳未満の子供のページに16歳以上の利用者がアクセスできないようにするMySpaceの新しい安全管理機能によって、悪質な利用者は自然に排除されるはずだという。Strand氏によると、この安全管理機能によって親が自分の子供のページを見られないという事態も起きており、子供の個人ページに何とか入り込めるようにしてほしいと依頼してくる親もいるそうだ。
「親たちには『そんなことをするつもりはありません』と、いつも答えている」とStrand氏は言う。もしハッキングするよう頼まれたら(実際にそういう要請はあるが)、「『頭がおかしいのか?』というのが私の姿勢だ。親だという理由でそういうことが許されるなら、ネット上をうろつく変質者も親を装ってツールを悪用し、侵入できることになる」
それでも、MySpaceの利用状況を監視するツールは続々と登場している。例えば保護者向けのチャット監視サービスChatCheckerには、子供がMySpaceのインスタントメッセージ(IM)に書き込んだ内容を、親がひそかに確認できる新機能が加わっている。サービスの1つに、特定の単語がIMに登場すると「危険な会話」があったとの警告を電子メールで送る機能がある。しかし多くの子供たちは、親が監視しているかもしれないとわかっているので、略語や特別な造語を使っている。
また、Strand氏はmyspaceWatch.comを立ち上げたことで困った事態に陥る可能性もある。たとえば、MySpace監視サービスの1つ、「KidQuery.com」は、サービスの開始を取りやめている。同サイトのエンジニアの1人が、他のサービスがネットワークに入ってデータを抽出することを禁止するMySpaceの利用規約に、KidQuery.comが違反している可能性に気づいたためだ。また、「Singlestat.us」というサイトも、最近になってMySpaceからサービス停止を求める書簡を受け取った。Singlestat.usは、「独身」で登録しているMySpaceユーザーのプロフィールを表示していたが、MySpaceからの書簡受領後ただちにサービスを停止した。
「MySpaceからの停止を求める書簡を待っているところだよ」と、Strand氏は冗談まじりに言ったが、すぐに、この発言が同氏の本意でないことをはっきりと示した。
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