1995年までさかのぼってみると、この年、米国TIME誌は、「On a Screen Near You」と題した特集を組んだ。この特集では、ネット上にどのくらいポルノ情報が存在するのかを18カ月にわたって調べた米カーネギーメロン大学の研究結果が示された(論文のタイトルは「Marketing Pornography on the Information Superhighway」)。そして、コンピュータの前で驚いた顔をしている少年の姿を写した同誌の表紙が示唆したように、インターネットにはポルノや不道徳な情報が溢れていて、もはや子供が安全ではないことが実態として示された。
しかし記事そのものは興味深いものであった。特集では、掲示板、ニューズグループ、ダイアルアップモデムのほか、「情報スーパーハイウェイ」「サイバーポルノ」「電話料金の請求書」といった言葉が取り上げられていた。そのときから時代は大きく変化した。しかし1995年の時点でさえ、すでにインターネット(ウェブではなく)は開発からすでにおよそ20年が過ぎていた。それからさらに10年以上が経過している。その間にその後を決定づける多くの画期的な出来事があった。
そこでわれわれは、インターネットの基礎となっているテクノロジのルーツから、インターネットの爆発的普及を促したウェブの特性、その途上甘んじて受けてきた訴訟、さらにはネット普及の結果として企業がこうむった被害に至るまで、インターネット全体の歴史を掘り起こしてみることにした。40年近いインターネットの歴史の中で、極めて重要と考えられる50件の出来事を10の分野に分けてピックアップしてみた。この特集では、毎回、2つの分野を1つの章としてまとめ、紹介したいと考えている。
さて前置きはこのくらいにして、まず今回は第1章として、インターネットの「黎明(れいめい)期」と「ネットワーク網の広がり」という2つの分野を見てみよう。
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