ゲーム業界の競争は依然として熾烈である。現世代機であるWii、Xbox360、PLAYSTATION 3に加え、携帯型ゲーム機、携帯電話などへとプラットフォームは多様化し、ゲームという定義の軸すら、ぶれ始めている。
2006年、CNET Japanのインタビューに「多様性に対応できるものだけが生き残る」という見方を示したスクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏。あれから1年、状況はより混沌としはじめているが、この状況をどう見ているのか。再び話を聞いた。
地域の広がりが出てきて、ユーザー層の厚みも増してきている。家庭用ゲームソフト、ハード、業務用とすべて非常に順調です。短期的に見ると家庭用ゲームソフトの伸びは強烈。長期的に見ても、ゲームがエンターテインメントの産業として定着したとはいえ、まだまだ安定的に成長を続ける分野であると思います。
新しいお客様をうまくとらえ、Xbox 360やPLAYSTATION 3(PS3)との棲み分けが良好にできています。もちろんオールドファン、例えばしばらくゲームをお休みしていた人も戻ってきてくれています。Wiiと対極にあるのはXbox 360です。これは完全にコアゲーマーのためのマシン。WiiとXbox 360のソフト装着率(ハード1台に対するソフトの販売本数)を比べると、Xbox 360のほうが数倍多い。本当にゲームが好きな人が買っているのでしょうね。
たしかに、たった今の現象としては、Wiiをゲーム機としてではなくおもちゃとして買っているユーザーが多いと思います。ただ、広がったお客様の層がそのままゲーム市場に入ってくれば相当な量になるはずです。お客様をゲーム市場に呼び込む努力は、我々サードパーティーも含めてやっていかないといけない。まだ結論を出すには早すぎるでしょう。
正直、位置づけが難しい。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)がどこにポジショニングしたいのか、今ひとつ分からないと感じています。ゲーマー向けのゲーム機にするのか、それとも高性能の家電なのか。プラットフォームの提供元にはっきりと決めて欲しいと思います。
まだ分かりませんが、Xbox 360、PS3を含めて、現世代機はすべてネットワーク対応端末です。ですから、ダウンロードビジネスは今後標準の1つになっていくと思います。
現状では大きく分けて、(1)パッケージをリアルな店舗で売る、(2)パッケージをネット通販で売る、(3)ダウンロード販売するという3つの販売形態がありますが、方向としてはリアルな店舗からネットで購入できるような形へと不可逆的に進んでいくと思います。もちろん、店舗売りという形態が決してなくなるわけではありませんが。
もちろんその通りです。たとえば私は書店が大好きなのですが、現在ではほとんど行かなくなってしまいました。行くにしてもその場では買わない。一方、以前は足繁く書店に通っても月間数冊しか買わなかったのに、今は購入量が増えてAmazon.co.jpで月間10冊も20冊も買っています。品揃えはリアルな店舗とバーチャルなものでは比較にならない。パッケージをネットで売るという形態ですらこういう状態になっています。
さらにゲームは、元々がデータをテレビ画面に「解凍」して出しているようなもの。パッケージに入っている理由というのはあまりないわけです。もちろん、ゲームも市場ができていなければダウンロード販売のような手法は採れません。ゲーム産業がエンターテイメントのひとつとして定着したので初めてこうした手法が採れるようになったわけです。
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