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第12回 まずは、アイデアの創出!

2003/06/19 10:00
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 前回までは、起業への立志術のようなお話が中心でした。では起業意志が固まったら、次には具体的に何をすべきでしょうか?以下に企業に属しているビジネスマンや技術者の典型的な起業パターンを描きつつ、ステップバイステップでポイントを記述していきます。

アイデアはどう出るか?

 起業アイデアの発案についてはさまざまなケースがありますが、大部分は自分の職務経験・人生経験からにじみ出たものです。その意味で、いかなる体験(職業体験・人生体験)も考えようによって無駄にはなりません。アイデアは電撃的に訪れることもないとはいえませんが、ほとんどの場合、まずは人間の頭の中であたためられ、スケッチしたりして徐々に形を帯びてきます。そして、「うん、これはやりたい、やるしかない、きっとうまくいく」と思ったとき、起業への決意が生まれます。

 アイデアもなしで、とにかく起業したいと考える人もいます。たとえて言えば、恋に恋するような状態。相手はまだいないのに、恋愛願望だけが強い状態です。本来は本末転倒といわれることもありますが、私はそれでもいいとおもいます。その願望が強いと、まわりを常に起業アイデア探しの観点で見渡す習慣がつき、結果的にいいアイデアの発案に結びつくからです。孫正義さんは、若いころ、毎日ひとつの起業アイデアを考えつくことを義務にしたというエピソードがあります。

アイデアには2つのスタイルがある

 私は起業対象のビジネスを2種類に分類しています。ひとつは、既に市場が存在しているところに、いままでとは別の方法で参入するパターンです。もうひとつは、市場そのものがまだ存在していない、まったく新しい市場創造をたくらむパターン。当然ながら後者のほうがハイリスク・ハイリターンです。そして、私は、後者のほうがより「創造的」で「偉大な」起業家だと思います。が、現実にはよりハードルは高いのもまた当然です。

 中でも100年に1度の「世の中を一変させる」産業を生み出した人は、単なる起業家、産業人の範疇をこえ、歴史に名を残す人となります。たとえば、馬車が全盛のころ、手作りで高価だった自動車を大量生産して、一気に普及させ、結果として世界中の人々の移動手段をまったく変えた自動車王Henry Ford。個人が家庭でコンピュータを持つなどありえない、という常識を打ち破ったAppleの創業者Steve Jobs。

ビジョナリーとは何か?

 後者のタイプの創業を目指す人はビジョナリーと呼ばれることがあります。ビジョナリーとは、ビジョンを描く人。ビジョンとは、文字通りにいえば、「幻視」です。つまり想像・空想の世界で、リアルな世界を見る能力です。ビジョナリーとは、今と違う世の中を幻視できる能力をもっている人。つまり、今は全く使われていないが、何年か先の将来には誰もが使っている商品・技術を想像し、それを普及させようとがんばる人のことです。まさに人々の生活やビジネスのありかたを一変させるようなインパクトのある事業を構想できる人のことです。

 身の丈に合った起業テーマを目指すのもいいですが、破天荒な、常識はずれのビッグビジョンを描くビジョナリー型の起業家もまた、いてほしいと思います。もっとも最初からそうであったわけではなく、結果としてビジョナリーと呼ばれる人もいますので、それほど気負わずにいきましょう。

不況期は起業にむかない、は嘘!

 不況期にはただでさえモノが売れないので起業してもうまくいく確率は低い、という説があります。確かに、なんら新機軸のない横並びの商売を始めるならそういえるかもしれません。しかし、新しいアイデアを盛り込んだ起業にかぎっていえば、これは間違いだと私は思います。

 まず不況期は、人々の嗜好や、購買パターンなどがかわりがちで、既存のルールが通用しなくなります。好況期は、業界リーダーが好調に市場をひっぱり、新参者の出番はありません。ところが、不況期は業界の分裂や再編がおこりやすく、その裂け目に参入チャンスが生まれることがあります。また不況になってゲームのルールが変われば、新しいルールにのった新企業にチャンスがまわります。たとえば、高コスト体質に染まった業界に、デフレを前提として今参入すれば、超ローコスト経営でプライスリーダのポジションを取る計画が描けます。

 おまけに、不況期は起業コストが低下します。まず、リストラなどを背景に、いい人材が比較的安くとりやすい。オフィスも安い、中古オフィス家具もどんどんでてくる。その他資材も安い。つまり営業開始までのコストがかからない分、余分に積極的に営業活動ができ、売上げを上げるチャンスが高められるのです。

(以下つづく)

「起業家というキャリア」は毎週木曜日の更新予定です。


筆者プロフィール
西川 潔
ネットエイジ 代表取締役社長
KDD、米国コンサルティング会社、AOLジャパン などを経て、98年2月、ネットエイジを草の根的に創業。 インターネットビジネスの企画・開発・運用を通じ、ビジネス インキュベーションおよび、投資業務を手がける。現在までに12のビジネスをおこし、M&Aで4社を売却。また、99年に 日本中を席巻したビットバレー構想の発案者でもあり、常に起業家主導経済の重要性を説く。東京大学教養学部卒

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