ハリウッドに学ぶ--ITリーダーのプレゼンテーションを向上させる秘訣 - (page 3)

文:Marc Schiller(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子2010年05月31日 08時30分

絵コンテとは何か?

 絵コンテは、ストーリーを展開するために用いられるものである。絵コンテを用いることで、監督は(撮影監督とともに)視聴者の視点から見たストーリーの展開を視覚的に描写することが可能になる。絵コンテは、映画を構成するシーンの(手書きによる)草稿の一種だと言える。

 絵コンテが作られるようになった時期は定かではないが、Walt Disneyが「Steamboat Willie」(ミッキーマウスが登場する、1920年代の古典アニメ)の制作時に絵コンテを多用したということはよく知られている。ディズニーにとって絵コンテ作りは、お金のかかるアニメーション制作作業を始める前に、自らのアイデアの有効性を見極めるうえでの「かたち」を作り上げるための低コストな手法であった。彼は絵コンテを壁に貼って眺めることで、使えるアイデアと使えないアイデアを選別していたわけである。彼は、流れがうまくできていないと感じた際、納得が行くまで絵コンテの順番を何度も並び替えていたという。

ITリーダーにとっての絵コンテ作り

 この話の行き着く先がどこであるか、読者の方はもうお分かりのことだろう。プレゼンテーションを作成する際には、ハリウッドの監督が映画の企画時に使用したアプローチ、すなわち絵コンテの作成をお勧めしたいわけである。

 PowerPointを起動し、おもむろに箇条書きのスライドを作成し始めるのではなく、まず最初に一連の絵コンテを作成しよう。始めるにあたっては、以下のような基本的な質問を自らに問いかけてもらいたい。

  1. 伝えようとしている核となるストーリーは何か?
  2. 今回、このストーリーを伝えようとしている理由は何か?
  3. このストーリーによって、聴衆に何を伝えようとしているのか?
  4. このストーリーを聞いてもらうことで、聴衆にどういった行動を取ってもらいたいのか?

 こういった質問に答えることができたのであれば、ストーリーのコンテキストが用意できたことになる。これで初めて、プレゼンテーションの要となる最初と最後のスライドに対応する絵コンテのカット(構成要素)を作成できる準備が整ったというわけだ。もうあなたには、聴衆に伝えたいことと、ストーリーの終わらせ方が分かっているはずである。

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