ネット法、ネット権--日本のコンテンツ産業を救うか?

2008年3月24日 07時00分

 デジタル・コンテンツ法有識者フォーラムが、映像や音声などのコンテンツがインターネット上で流通するのを促すための法案「ネット法」(仮)制定の必要性を唱えています。その根幹を成すのは、権利処理の簡素化を実現する「ネット権」の創設、コンテンツ流通によって得た利益の公正配分の義務化、不合理な権利侵害主張などに対して適切な対応が可能となるフェアユースの規制化の3本柱です。なかでも注目のネット権は、収益の公正な配分を行う能力を有するもの(放送事業者、配給会社など)だけに与えられる流通の権利で、ネット権の保持者が2次利用を許可した段階で、そのコンテンツに関係するすべての権利者が合意したものとみなすものです。有識者フォーラムが特別法の提案主旨として挙げた、「多数の優良コンテンツを生み出す状況にありながら、コンテンツ配信をベースとした世界的企業が生まれていない」という日本の現状は、これらの法整備によって打破することができるのでしょうか。パネリストの皆さんの意見を聞かせてください。


  • 奥木博一
    奥木博一さん (パーク24株式会社 業務推進本部 技術開発部 マネージャー)
    世論に対する問題提起を行ったという意味でこのフォーラムの提唱は有意義だったと考えます。志と総論はその通りだと思いますが、この件、重い課題です。

    安易に「ネット法」(仮)を制定してしまうと逆効果になることを危惧します。

    以下に掲げる重要な利害関係者(例)と忌憚のない意見交換を何度も行うことが大事だと思われます。

     1.権利保有者
     2.テレビ局(放送事業者)
     3.映画配給会社
     4.著作権管理団体
     5.配信業者
     6.広告代理店
     7.関係当局
     8.視聴者(一般消費者)
     9.法曹その他有識者
    10.その他関係者

    原則的に、だれもが「だまされた」と思わないようにするのが大事なことで、主要プレイヤーが納得しない限り、器だけ作っても中身が入りません。

    筋違いな例かもしれませんが、六本木ヒルズの再開発時の成功例を思い描きました。森ビルが近隣住民と大幅な時間と回数を割いて極めて透明性の高い相互理解を達成し、その結果としてあれだけの再開発が大きな紛争もなく達成されたという事例です。


    2008-03-24 11:31:43

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