ブラザー工業は10月20日、メガネ型ディスプレイの電源ボックスを小型化し、持ち運びできるようにしたと発表した。現実の空間に映像を重ね合わせたような形で見られる点が最大の特徴だ。
これは、目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速で動かすことで残像を作りあげて映像を見せる「網膜走査ディスプレイ(RID)」という技術を使ったもの。ブラザー工業がプリンタなどのレーザープリンティング技術を開発する中で培った光学システム技術や、インクジェット方式のプリンティング技術で使われている圧電方式(ピエゾ方式)技術などを応用しており、2010年度の事業化を目指している。
最大の特徴は、実際の視野と重ねてRIDの画像を見ることができる点にある。こういった技術はAR(拡張現実)技術と呼ばれて注目されており、アニメ「電脳コイル」などで話題になった。
ブラザーはメガネ型の試作機を2008年11月に開発していたが、今回は実用化に向けて、光源モジュールを含む電源ボックスを小型化し、持ち運べるようにした。
光源モジュールは、フルカラー画像を表示するため光の三原色(赤/緑/青)のレーザー光源が必要だが、これまで緑色の半導体レーザーが実用化されていなかったため、作機では緑色固体レーザーを採用していた。今回、世界で初めて緑色の半導体レーザーを採用したことで、小型化に成功したのだという。
電源ボックスの大きさは横約95mm×縦約170mm×高さ約30mm、重さ約350g。従来試作機に比べて体積は20分の1、重量は13分の1になっている。また、従来試作機ではAC駆動だったが、今回は電池で動くようにしたとのことだ。
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