ドラクエ9では、対応機にニンテンドーDSを選んだこともあり、これまでのドラゴンクエストシリーズに比べて女性の比率が高いという。プレーヤー層の拡大は、ドラクエ9に課せられた使命の1つでもあった。
「キャラクターの着替えの要素や、フィールド上にあるアイテムがきらきら光っていて、ついつい拾ってしまう仕掛けなど、(女性向けに)仕込んだ部分がじわじわ効いている」(スクウェア・エニックス プロデューサーの市村龍太郎氏)
また、対応機のスペックがそれまでのドラゴンクエストシリーズよりも低い分、ネットワーク機能を活用したプレーヤー間のコミュニケーションづくりには気を配った。
その例の1つが、アミューズメントスポット向け業務用カードゲーム機「ドラゴンクエスト モンスターバトルロードII」と連動した「超連動」という機能だ。これは、モンスターバトルロードIIのプレイ中にドラクエ9と通信すると、特別な「宝の地図」が手に入るというもの。
「地方だとすれちがい通信やマルチプレイかできないと言われるので、モンスターバトルロードIIを発信基地としてプレーヤーを集めて、ここを中心に(プレーヤーの輪が)広がっていくというのを狙っている。地方でほかのプレーヤーとかかわりたい人たちのきっかけになればいい」と市村氏は話し、モンスターバトルロードという業務用ゲーム機自体が、ドラクエ9の発売に向けて生まれたものだと明かした。
また、ユーザーの間でブームになっているすれちがい通信には、大きな可能性を感じているようだ。すれちがい通信は、プレーヤーがすれちがい通信の設定をしておけば、端末を閉じても自動的にほかのユーザーと通信するようになっている。
「(任天堂の)『トモダチコレクション』もそうだが、やらなくても良いゲーム、セットアップをしたらあとは観察するだけというものは、これから大きな市場があるのではないか。たまにのぞくと状況が変わっていて、それを追いかけながら楽しむという、“触らないゲーム”がもっと伸びてもいい」(藤澤氏)
堀井氏は、「デジタルをファジーにするのが好き」だという。ドラクエ9では、キャラクターが一時的に強くなる「テンション」というモードがあり、テンションの高さは5、20、50、100と上がっていく。「あの数字も感覚で決めた。でも、加速度的に上がっている感じがする。ファジーな部分というのは、人が好きなんだと思う。論理的なんだけど、どこかわからなく、わくわくする、嬉しい感じがある」(堀井氏)
「ハードウェアが進化してやれることは増えているが、面白さの本質はそんなに変わらない。やれば面白いゲームというのはあるが、今の人たちには時間がない。暇つぶしが山ほどある中で、あえてやってみたいという、とっつきの面白さ、何かありそうな気がする部分のあるものが受けていく」(堀井氏)
ドラクエ9は販売本数が370万本を突破し、歴代最高の本数となることが見込まれている。それでも堀井氏は、「国民的ゲームは作ろうと思って作れるものでもない」と控えめだ。
「過去20年の歴史や思いが、そう(ドラゴンクエストを国民的ゲームに)してくれたと思う。友達と競争したとか、アイテムが見つからなかったとかいう思い出とともにプレーヤーが成長してくれて、持続的に広がった。親と子どもが同じゲームで遊べるというのは素晴らしいと思う」(堀井氏)
「漫画家が手塚治虫になるか、藤子不二雄になるかというのがあるように、ゲームも成長したプレーヤーを狙うものと、初心者を狙うものがある。ドラゴンクエストは(初心者でも楽しめる)“藤子不二雄”になれたらいい」と、誰もが安心して楽しめるゲームを目指し続けていくとした。
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