DVDの暗号機能を解除するプログラムを開発し、「DVDヨン」の名前で知られるノルウェーのプログラマー、Jon Lech Johansen氏が設立したdoubleTwistは7月9日、iTunesやWindows Media Playerと互換性を持つメディア管理ソフト「doubleTwist」の日本語版を公開した。iTunesで管理している楽曲や動画を、携帯電話などに転送できるのが特徴だ。
doubleTwistはJohansen氏とMonique Farantzos氏が2007年に設立した、米国カリフォルニアに本社を置くベンチャー企業。Johansen氏のインタビュー記事を雑誌で読んだFarantzos氏が、「こういった才能を持つ人は企業に勤めるのではなく、自身で会社を興すべきだ」と考え、話を持ちかけたのがきっかけだったという。これまでに750万ドルの資金をベンチャーキャピタルなどから調達しており、2009年2月に初めての製品としてdoubleTwistを公開した。
doubleTwistは「(音楽や動画などの)メディアをあらゆる端末で再生できるようにする」というコンセプトのもとに開発された製品で、PCと携帯電話を簡単に同期し、写真や音楽、動画ファイルを転送できる機能を備える。具体的には、PCと携帯電話をUSBケーブルで接続すると、PC内のデータを携帯電話のmicroSDカード内に保存できる。また、YouTubeの動画も保存可能だ。10分以内のファイルであれば、doubleTwistのサーバに保存して友人と共有することもできる。
「日本の携帯電話市場は世界でもっとも成熟しており、高解像度のディスプレイを備えた高い品質の端末が普及している。しかし、携帯電話でメディアを再生する方法が複雑で、難しいという課題がある」とFarantzos氏は日本市場を分析し、ここにチャンスがあると話す。なお、doubleTwistにとって日本は初めての英語圏外進出となる。
YouTubeなどはすでに携帯電話からも閲覧できるが、「PCから転送することで、より高品質のものが楽しめ、電波の入らない電車内でも楽しめる」(Farantzos氏)のが利点とのこと。また、競合製品と比べた場合の優位性については、「端末に関する世界最大のデータベースを持っており、それぞれの端末に最適化した形でメディアを再生できる点が強み」(Farantzos氏)とした。携帯電話だけでなく、PSPやiPodにも対応しているという。
日本ではNTTドコモ82機種、au60機種、ソフトバンクモバイル26機種に対応しており、「NTTドコモであれば、過去2〜3年内に発売されたほとんどの機種に対応している」とのこと。対応機種は同社のWikiページに記載されている。
doubleTwistの利用料金は無料。今後はポッドキャストに対応した有料版を提供するほか、doubleTwist内で有料コンテンツを販売することで収益を上げる計画だ。
なお、doubleTwistにはDRMを解除する機能は搭載されていない。このため、DRMがかかった楽曲や動画などは扱えない仕様になっているとのことだ。
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