家庭用ロボットの市場を開拓するため、国内のベンチャー4社が手を組んだ。情報共有や共同マーケティング活動のほか、海外との連携を強めてロボットを一大産業に育て上げる考えだ。
テムザック、ビジネスデザイン研究所、ゼットエムピー、ヴイストンの4社は6月18日、家庭用ロボットの市場化に取り組む「次世代ロボット市場創造連盟」を設立したと発表した。
4社は販売マーケティングで協力するほか、技術の相互貸与、共同での啓もう活動、海外企業や海外政府との提携などをしていく。「世の中にはロボット産業が市場になった時点で参入しようと考えている企業が多い。しかし我々は、自分たちで市場を最初に作っていこうと考えている」(テムザック代表取締役で次世代ロボット市場創造連盟会長の高本陽一氏)
4社はそれぞれ本拠地が異なっており、これまで特に協力体制は敷いてこなかった。テムザックは福岡、ヴイストンは大阪、ビジネスデザイン研究所は愛知、ゼットエムピーは東京に本社を置いており、物理的な距離があったからだ。しかし、2月に韓国で「知能型ロボット開発・普及促進法(ロボット特別法案)」が国会を通過し、9月にも施行されると見られる中で、日本のロボット開発体制がばらばらであることに危機感を抱いた。
「韓国では、知能型ロボットに投資したい会社を支援するためのファンドを政府が設立して支援する。また、事故を起こした場合に補償する保険機構や、安全基準を政府が作ろうという話もある。これに対し、日本にはロボットに関する基準も法律もない」(高本氏)
高本氏のもとにはロボット開発に関する問い合わせが国内外から寄せられているといい、「ロボット技術については日本が断トツ」と断言する。「この技術を大事にして、何とかロボット産業を興したい。日本発でできなかったら、どこでもいい。ロボット技術を使えば今までできなかったことがいろいろできる。ロボット文明を作りたい」(高本氏)
ただし、各社の売り上げは現状まだまだ小さい。売上高はテムザックとゼットエムピーが2億円程度、ヴイストンが2億数千万円、ビジネスデザイン研究所が17億円とのこと。家庭用ロボットの市場規模も「現在は2〜3万台程度ではないか」(高本氏)という。4社が連携することで、「例えば現在デパートの百貨店の家電売り場にロボットを置いてもらっているが、そもそも家電をデパートに買いに来る人が少なく、片隅に1社の製品が置いてあっても訪れた人に理解してもらえる状況ではない。複数社の製品が並ぶことで、購入者の選択肢が多くなれば、家庭用ロボットが産業になっていけるのではないか」と高本氏は期待する。「これから市場は本格化する。5年後には市場が10倍以上になるようにがんばっていきたい」(高本氏)
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