「今日もまた、Microsoftにとっていい日だね」
7年前、象徴的な反トラスト法訴訟で敗北した直後の記者会見で、Microsoftの広報担当者Mark Murray氏がこう語ったのは有名だ。
「Zune」の関係者は、こうした表現こそ使わなかったものの、「iPod」の最新ニュースを軽く受け流そうとした。
MicrosoftのZune部門に勤めるCesar Menendez氏は、自身のブログ「Zune Insider」の中で次のように述べている。「人々にとっては衝撃だったかもしれないが、今日Appleが行った発表によってわれわれの計画が変わることはない。もちろん、ある程度の関心を持ってはいるが、われわれの計画はしばらく前から動き出している」
しかし、この計画がどのようなものなのか、完全に明らかになったわけではない。Microsoftが30GバイトのZuneを発売したのは2006年11月のことだった。今年のホリデーシーズンには後継機種を送り出すとの期待が広まっており、それはフラッシュメモリを搭載した新機種と、ハードディスクを搭載した現行機種のアップデート版だというのが大方の予想だ。
米国時間9月5日の時点で、Microsoftから新しい発表は何もなく、Menendez氏も「これまで通りZuneチームは充実したユーザー体験の構築に打ち込んでいるという事実以外に、発表すべきことはない」と述べるにとどまった。
1つ確かなことがある。50ドル程度の値下げや他ブランドとの提携による限定モデルなどでは、Appleに追いつけないということだ。
Appleの5日の発表によって、ハードルはさらに高くなった。Zuneには既にWi-Fi機能が搭載されているが、その使い道はごく限られており、できることと言えば、近くにあるZune同士で楽曲を転送するぐらいだ。それはそれで面白いアイデアなのだが、Steve Jobs氏が5日に発表した「iPod touch」のWi-Fi機能に比べたらはるかに貧弱だ。
Microsoftは当初から慎重な態度を崩さず、この市場で勝ち上がるには時間も費用もかかると予想している、と言い続けてきた。競合各社がこれほど苦労するのは、Appleが一貫して、市場をリードする製品といえども徹底的に手を加え、さらに良い製品にするという意志と能力を示してきたからだ。
数年前、当時売れ行きが好調だった「iPod mini」の生産を打ち切って「iPod nano」を発売したときもそうだった。今回、iPod nanoにビデオ機能を加え、ビデオiPodをiPod touchに置き換えたのも、同じことを繰り返しているように思える。
とはいえ、Microsoftの歴史を学んだ者なら、同社を甘く見るのは禁物だということを知っている。いったん市場に参入したら、めったなことでは手を引かない。何度でも挑戦を繰り返すのがMicrosoftだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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