Microsoftが、広く利用されているJPEGに変わり、独自の画像フォーマットを普及させようとしている。同社は、「Windows Vista」の発売がその取り組みの追い風になることを期待している。
Microsoftは2006年に、独自の画像標準を推進し始めた。その標準は、もともと「Windows Media Photo」と呼ばれていたが、同年11月に「HD Photo」に改名された。同社はその野望について率直に認めている。Microsoftのデジタル画像エバンジェリズム担当ディレクターであるJosh Weisberg氏は、「われわれの最終目標は、(HD Photoを)デジタル写真の事実上の標準にすることだ」と語る。
「HD」は、実際には「High Definition(高解像度)」の略ではないが、人々はHD TVの高画質を連想するはずだ。Microsoft Researchのディレクターで、同フォーマットの開発を支援したRico Malvar氏によると、HD Photo画像はJPEG画像に比べ、より多くの微妙な細部が失われずに維持され、画像の色彩も濃く、さらに同画質の画像を保存するのに半分の容量で済むという。
しかし、新しい画像フォーマットが人気を獲得するのは極めて困難だ。新たな標準がすでに普及している標準に取って代わるケースであればなおさらだ。しかし、Microsoftには、同社の取り組みを強力に後押しする2つの材料がある。
第1に、Microsoftは、米国時間1月30日に一般発売するWindows VistaにHD Photoのサポートを組み込んでいる点。そのため、今後カメラメーカーが、(カメラから)画像をコンピュータに転送するフォーマットとして、HD Photoをサポートしやすくなるだろう。また、ウェブブラウザなどのソフトウェアでもHD Photo画像の表示、保存が可能になる。
「言うまでもなく、(HD Photoを)普及させることが目標だ。Windowsで利用可能ということは、大部分のユーザーが利用可能であるということだ」(Weisberg氏)
第2に、「Photoshop」シリーズを擁し、世界で最も有力な画像編集ソフトウェアメーカーであるAdobe SystemsがHD Photoを支援することを予定している点だ。同社の製品管理担当シニアディレクターであるKevin Connor氏がその事実を明らかにした。Adobeが間もなく発売する「Photoshop CS3」にHD Photoのサポートを組み込む「時期は定まっていない」が、AdobeはMicrosoftと連携して、PhotoshopのWindows版とMac OS X版のユーザーが、HD Photoファイルを開いたり、保存できるようにするためのプラグインの開発に取り組んでいる。
Connor氏は、「HD Photoの優れている点は、デジタル写真の利用の進化の過程を良く理解した上で、デジタル写真専用に設計されている点だ」とし、さらに次のように続けた。「HD Photoが、JPEGと同様に広く利用可能になるまでにはしばらく時間を要することは間違いない(そもそもJPEGがそこまで広く利用されていればの話だが)。しかし、今日でも消費者がHD Photoを好んで使用する理由はいくつか考えられる」
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