ソニーは10月24日、ソニー製リチウムイオン電池セルを使用したノートブックPC用電池パックの「自主交換プログラム」の詳細を発表した。
交換の対象となるのは、2003年8月から2006年2月までに製造された、2.4Ahおよび2.6Ahのソニー製リチウムイオン電池セルを採用したノートPC用電池パックの一部。対象となるセルは、デルやアップルコンピュータ、レノボが自主回収した電池パックに採用されているものと同タイプになる。
交換対象個数は、デルやアップル、レノボの自主回収分を含まないで、全世界で約350万個となる。具体的な交換開始時期や方法については、PCメーカー各社からユーザーに案内することになる。
交換プログラムに参加するハードウェアメーカーはデル、アップルコンピュータ、レノボのほか、東芝、富士通、シャープ、日立、Gateway。ソニーのVAIOも交換対象となる。費用は、デル、アップルコンピュータ、レノボ3社の自主回収分と今回の自主交換プログラムを合計して約510億円、対象となるバッテリーパックは、約960万個になる予定。
ソニーでは、米国消費者製品安全委員会と米国内での自主交換プログラムに関する調整をしており、現地時間10月23日午後9時には、同委員会が交換プログラム実施をソニーと協調して実行することを発表している。
10月24日には、ソニーが自主交換プログラムの詳細について初めて語る説明会が開かれた。説明会にはソニー 執行役副社長 セミコンダクタ & コンポーネントグループ担当の中川裕氏、ソニー コーポレートエクゼクティブ SVP 製品安全・品質担当の木暮誠氏、ソニー コーポレートエクゼクティブ SVP 広報渉外担当の原直史氏が出席した。
ソニーでは、デルおよびアップルのマシンで起こった発火事故の原因について、円筒型電池セルの内部に、製造工程で金属粉が混入し、特定の部位に混入した結果、発熱・発火が起こったことと、充電システムや形状、消費電力、温度といったマシンのシステム構成上の要因があると説明する。原因となった金属粉については「ニッケルとみている」(中川氏)。
ただし、レノボのPCが発火した件に関しては「6本のセルのうち、2本しか回収できなかったため、原因は特定できていない」(原氏)ものの「お客さまの不安を払拭するために自主交換プログラムに踏み切った」(中川氏)という。デルではバッテリーの自主回収に際して、原因がソニー製セルに起因するものとしており、意見が食い違うが「(セルとシステム構成両方の問題であることが)私どもの見解」(中川氏)とした。
ソニーでは2005年にデルに納入した電池セルでも3万5000件のリコールを実施し、電池セルの製造工程を見直していたが、今回問題として挙がっている金属粉の混入については確認できず、「その当時の解析は十分で無かったことを否定できない」(中川氏)としている。
バッテリーの供給については、「当社以外のバッテリーを供給して頂き回収のスピードを上げる」(中川氏)と説明しており、年末商戦に向けても現行商品のバッテリーが不足することはないとしている。
会場では回収対象のセルが960万個で終わりなのかという質問が出たが、これに対して中川氏は「これで終わりにしたい。これで安全性に対する対応は十分やったと思っている」と語った。
また、東芝が損害賠償も検討しているが、「今回のバッテリー回収について、私どもの費用負担の考え方を説明したが、東芝からは東芝の費用負担の考え方を頂いている。それについての協議はまだ始まっていない」(中川氏)とした。また、東芝以外の一部メーカーからとも相談していくという。
なお、代表執行役会長兼CEOにハワード・ストリンガー氏、代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOに中鉢良治氏らの進退については「経営陣がもっともすべきことは自主交換プログラムを円滑に進めること。現時点での対応は検討していない」(原氏)とした。
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