「ゲーム機の性能は過去20年で大きく向上したが、悪くなったものもある。それは、起動に必要な時間がどんどん長くなったことだ」--任天堂代表取締役社長の岩田聡氏は5月9日(米国時間)、ロサンゼルスで開かれるゲーム関連の展示会「Electronic Entertainment Expo(E3)」に合わせて開かれた記者発表会において、次世代ゲーム機「Wii」にかけた思いを語った。任天堂のサイトでそのスピーチの内容が公開されているので、紹介しよう。
Wiiは、かつて家庭用ゲーム機の王者であった任天堂が、リビングでの主役の座をソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーションから取り返すべく投入する、次世代のゲーム機だ。岩田氏はWiiの大きな特徴の1つとして、起動時間の速さを挙げた。これは、ゲームを始めるために数十秒も待たせるようなゲーム機は、ほとんどの人には受け入れられないという考えにもとづくものだ。
「私は、ゲームを企画することも開発することも遊ぶことも大好きです。しかしながら、最近私は以前よりも忙しくなりました。ゲームを始める前に数十秒以上の待ち時間が必要ということが、本当につらく感じるようになりました。特にニンテンドーDSで、ふたを閉じればスリープ、ふたを開けたら再開、という素早さを味わってからは、なおさらです。皆さんも同じではないですか?」
「もしも熱心なユーザーさえもフラストレーションを感じるのであれば、マスマーケットのユーザーに、それ以上我慢してもらうことができるのでしょうか?我々が変わらない限り、決してゲーム人口を拡大することはできません」
岩田氏によれば、WiiではインターネットでダウンロードしたゲームやOperaブラウザなどのアプリケーションを数秒以内に起動できるとのことだ。
また、Wiiは少ない消費電力のまま、常に稼働する「WiiConnect24」という機能を搭載することも明らかにした。自動的にスタンバイモードに入り、小さな豆電球1個分程度の消費電力で稼働しつづけるという。
「Wiiは、『眠らないシステム』になります」
このため、インターネットに常時接続して、ユーザーが眠っている時間帯などにコンテンツをダウンロードすることができるようになる。ゲーム開発者側がユーザーに、新しい兵器や乗り物などをインターネットを介して配信することも可能と話す。
「ゲーム初心者の場合、例えばどうぶつの森で、自分が眠っている間に自分の村に友達が遊びに来て、メッセージやプレゼントを残していく、そんな、毎日電源を入れるのが楽しみになるようなことが実現できます」
Wiiが目指すのは、ゲームユーザーの拡大だ。直感的に操作できる、モーションセンサーを搭載したコントローラを備えたのもこのためだ。「現在、家の中には、ゲームをプレイする人としない人が明確に分かれています。私達はこの状況をWiiで変え、これらの人々の間にある壁を壊して行きたいと思っています」
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