Apple Computerは現在デジタル音楽プレイヤー市場を支配しているが、その影響力を弱めたいMicrosoftが、家電メーカー各社に働きかけて企業連合を結成しようとしている。
Consumer Electronics Association(CEA)は先週、音楽プレイヤーなどの携帯端末と家庭や自動車のオーディオシステムとを接続するコネクタの標準開発を目的としたワーキンググループを発足させたが、Microsoftもこのグループのメンバーとなっている。
「ドックコネクタ用のオープンな業界標準を定め、消費者がデバイスに保存したデジタルコンテンツを利用しやすくすることは、業界にとって重要なことだ」と MicrosoftのJai Jaisimha(Windowsデジタルメディア事業部主任プログラムマネージャ)は声明のなかで述べている。
Microsoftのこの動きは、多くのデバイスメーカーや音楽販売各社をまとめようとする同社の一連の動きのなかで最新のものとなる。
高い人気を誇るiPodには、すでに標準のドックコネクタがあり、最近のモデルはいずれもこのコネクタ経由でスピーカーや車載キットなどに接続することができる。
しかし、Creative LabsやDell、iRiverといったほかの音楽プレイヤーメーカーは、それぞれ独自に設計したポートを採用している。そのため、各アクセサリメーカーでは複数のポートに対応するアドオン製品を設計しなくてはならず、そのことが各社の製品への対応を難しくしている。
こうした事情から、ほとんどのアクセサリメーカーでは市場をリードするiPod向けに製品を開発している。それに対し、AppleはiPodのポートを利用するアドオン製品に「made for iPod」の認定を与え、代わりにロイヤリティを徴収している。
MicrosoftのCTO(最高技術責任者)Ray Ozzieは先ごろ、AppleがiPodとiTunesでハードウェアとサービスを統合したを評価する発言を行っていた。同社では、他の幹部らもAppleがこの分野をリードしていることを認めており、リリースしたばかりのXbox 360ゲーム機ではiPodとの互換性を売り物の1つにしているほどだ。
Microsoftによると、デバイスメーカーや販売業者、アクセサリメーカー、そして自動車メーカーなど、さまざまな企業からデバイス接続用の標準を求める声が上がっているという。同社のChad Hodge(Windowsデジタルメディア事業部グループプロダクトマネージャは、自動車関連のニーズが最も切実だと述べている。
「自動車のダッシュボードに15種類のコネクタを装備しては使い勝手が悪くなる」とHodgeは言う。「Appleは大したものだと思う。彼らは実にいい仕事をしてきている」(Hodge)
分け前を狙う各社の思惑
Microsoftのように、Appleのおこぼれにあずかろうと考える企業の数はかなり多そうだ。
CEAによると、新しいワーキンググループにはこれまで40社以上の企業から60人以上が参加を申し込んでいるという。このなかには、Creative Technology、iRiver、Sirius、Belkin、Best Buy、Bose、Nokiaなどの関係者も含まれている。だが、Appleは同グループのメンバーになっていない。同グループは夏に行われたCEA委員会の話し合いを受けて発足し、今月はじめに初会合を開いている。この取り組みを取り仕切るのはMicrosoftのJaisimhaだ。
このワーキンググループでは、各社が共通のコネクタを備えたアクセサリを設計できるように、電子部分と機械部分の両方の標準を定めようとしている。しかし、デジタル音楽の暗号化に使われる手法はその仕様には含まれない。また、この仕様ではアナログとデジタルの両方の出力が可能になる。
このような企業間の共同作業は常に時間のかかるものだが、関係者は全員が切迫感を抱いている。
CEAの標準/技術ディレクターDave Wilsonは、「目標としては来年--できれば来年の半ばまでに標準を完成させたい」と語っている。
MicrosoftのHodgeも同じ思いを抱いている。同氏は「すでに発表できていれば良かった」としたが、Microsoft単独より業界全体でプロジェクトに取り組むほうが時間がかかることを認めている。「しかし、そのほうが最終的には幅広いサポートにつながる」(Hodge)
IDCのアナリストSusan Kevorkianは、今回の動きは理にかなったものだとしながらも、「標準が完成したからといって、必ずしも多くのアクセサリメーカーがそれをサポートするとは限らない」と指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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