富士通とNTTドコモは7月6日、高濃度のエタノールを使って長時間駆動可能な小型燃料電池を共同で開発したと発表した。また、この燃料電池を利用したクレードルタイプのFOMA端末用充電器を試作したことも明らかにした。両社が開発していたこれまでの燃料電池を使った充電器に比べ、使用時間が3倍に延びるという。
小型燃料電池は燃料カートリッジを交換することで、携帯電話などのモバイル機器を長時間駆動させることができるものだ。従来のリチウムイオン電池に比べて理論性能で約10倍、実効性能で約3倍という高い密度でエネルギーを蓄積できるほか、メタノールなどを燃焼させてエネルギーを発生させるため、環境への負荷が低いというメリットがある。
メタノールなどを燃料とした小型燃料電池では、メタノールと空気中の酸素を反応させてエネルギーを作り出す。このため、使用するメタノール水溶液の濃度を上げることで高容量化が可能だ。しかし今までは、使用するメタノール水溶液の濃度を上げると、電極間で燃料が染みだす「クロスオーバー」と呼ばれる現象が発生し、発電効率が低下するという問題があった。
今回富士通では、クロスオーバーが従来の2分の1になる材料を開発した。さらに発電時に発生した水分を使って燃料を希釈する機構を採用した。これにより、高濃度燃料を利用しても発電効率の低下を抑えることに成功し、99%以上の高濃度メタノール燃料が使用可能となった。
さらに両社は、この技術を利用してパッシブ型小型燃料電池を使ったクレードルタイプの充電器を開発した。発電能力は平均約1Wという。この充電器では、燃料容積18ccのカートリッジ1つで、FOMAの内蔵リチウムイオン電池を3個充電可能だ。
また、従来の30%濃度のメタノールを利用する燃料電池に比べ、1回のカートリッジ交換で使用時間を3倍に伸ばすことができる。これにより、ユーザーの利便性が向上するとともに、廃棄やリサイクルに回るカートリッジの量を削減できるので環境負荷の軽減にも効果的だとしている。
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