KHTMLの開発者らは当時、同プロジェクトにApple側のエンジニアがフルタイムで参加することを心待ちにしていたという。パートタイムの開発者らが無報酬で取り組む同プロジェクトは、思い通りに進んでいなかった。
AppleとKDEの蜜月はしばらく続いたが、同社の優先事項や手続きが、KDEのそれとは大きく違うことが鮮明になり、両者の関係は悪化してしまった。
KHTMLの開発者によると、Appleのエンジニアの方がバグ修正に対する「純然さ」が欠けていて、自分たちが採用したくないようなパッチがコードベースに適用されていったという。
「オープンソースでは、すべてを適切に進める取り決めになっているが、やや適切さに欠けている方が処理が早い場合もある。彼らは、1つの問題を修正する一方で、ほかの多くの部分を壊していった。Appleの開発者は、KHTMLに還元できないような形でバグの修正に専念していた。われわれにとって、このようなバグ修正は絶対に考えられなかった」(Rusin)
彼らの目に飛び込んできた光景は、オープンソースの開発者が慣れ親しんだ透明性や即時性とは対照的なものだった。KDEのボランティアにあてて、Appleから機密性が高く公表できないというバグレポートが送られてきたり、コードのリリース直前に新しい監査要件が来たり、Appleのコードを見る前に開発者に機密保持契約への署名を求める要求が行われたこともあった。
確かに、企業とオープンソースコミュニティー間のすべての関係が、AppleとKDEほど悪いわけではない。あるアナリストによると、KDEとAppleの関係崩壊のほうが、企業とオープンソースの関係としてはむしろ例外だという。
Burton Groupのアナリスト、Gary Heinは「Appleやほかの企業各社は、たいていはオープンソースコミュニティと密接に協力しており、かなりの時間やコードをプロジェクトに貢献している場合が多い。スムーズに行かないケースの方が目立ちやすいだけだ」と語っている。
AppleのオープンソースベースのソフトウェアはSafariだけではない。同社のMacintosh OSもオープンソースプロジェクトであるDarwinが基盤となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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