人とのコミュニケーションにユーモアは欠かせない。ビジネスにおいても、たとえロボットであっても。
NECは3月16日、コミュニケーション能力を強化したパーソナルロボット「PaPeRo 2005」を発表した。雑音の多い環境でも人が話しかけた言葉を聞き取る能力を備え、漫才やコントができる。
NECは1997年よりパーソナルロボットの開発を進めており、2001年からは名称をPaPeRoとした。2003年にはPaPeRoの開発を元にロボット用ソフトウェアの開発プラットフォームを「RoboStudio」という名称で製品化している。PaPeRo 2005はこれまでのPaPeRoの機能を強化し、コミュニケーション能力を向上させたものだ。
PaPeRo 2005 |
PaPeRo 2005は音声や動画認識機能が強化されている。8個のマイクを搭載し、背面の雑音マイクに入る音から周囲の雑音を推定して人が話しかける言葉だけを聞き取るようにしたり、複数のマイクに音が到達する時間差を利用して話しかけられた方向を認識したりする。PaPeRoの目の部分に搭載されたカメラで人の動きを感知し、人が手招きすると手の動きを認識して近寄ってくるという機能も備えた。
また、芸人のぜんじろうさんとの共同研究により、漫才やコントができる機能も搭載した。ぜんじろうさんと「ぜんじろう&パペじろう」というコンビを組み、漫才2本、コント3本を演じられるという。だじゃれを言うこともでき、「ユーモアのある対話技術により、飽きずに愛着を持ってもらえる」と同社では説明している。
Pentiu-M 1.6GHz、512Mバイトのメモリ、40GバイトのHDDを搭載する。2スロットのPCカードとUSB2.0ポートを2つ備え、研究プラットフォームとして拡張性を高めた。現時点でPaPeRoの販売予定はないが、仮に試作機を販売した場合、価格は100〜200万円になるという。「ノートPCの部品を流用しており、量産が進めばノートPC並みの価格にすることは可能だ」(NECメディア情報研究所 所長の山田敬嗣氏)
NECではPaPeRo本体を販売するのではなく、PaPeRoの開発で得られたソフトウェアの販売をビジネスにする方針だ。「人間の意図を機械が理解して反応する機能は、今後ロボットだけでなく家電や携帯電話などにも求められてくる。ここを新たな事業としていきたい」(山田氏)。開発プラットフォームのRoboStudioは企業や大学など10カ所ほどに販売されており、ビジネスデザインが開発した「ハローキティロボ」の開発にも採用されたという。
愛知万博では子ども向けPaPeRoを展示
チャイルドケアロボットPaPeRo(左) |
NECではPaPeRo 2005をベースにした子ども向けロボット「チャイルドケアロボットPaPeRo」も開発した。じっとしていることが苦手な子どもの顔を正確に認識するために顔認識の精度を高めたほか、ボディや頭部の9カ所にタッチセンサを搭載することで子どもがPaPeRoに触ってコミュニケーションできるようにした。
NTTドコモのFOMAカードを利用した携帯電話機能も備える。テレビ電話機能を使えば、PaPeRoの内蔵カメラに映った映像を遠隔地から見ることができる。子どもがPaPeroに「電話して」と話しかけると、登録された電話番号に電話をかけて親と話すこともできるという。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、3月25日から9月25日まで愛・地球博(愛知万博)でチャイルドケアロボットPaPeRoを使った実証実験を行う。実際に来場した子どもと触れ合い、音声や顔認識の精度や安全性などについて検証するとしている。
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