NECとNECシステムテクノロジーは5月19日、同社のパーソナルロボット「PaPeRo」を使った技術開発の成果をロボットソフトウェアプラットフォーム「RoboStudio」として製品化し、同日より販売を開始したと発表した。
RoboStudioはパートナー型ロボットを短期間、低コストで開発するためのプラットフォーム。特徴としては、挨拶などロボットの振る舞いや会話を記述するシナリオ(アプリケーションプログラム)と、画像・音声認識などを行うワーカ部分を分離し、開発やメンテナンスを簡単にした点が挙げられる。また、対話内容やユーザー情報をXML形式のデータベースとして格納する機能を備えたことで、インターネット上の情報などをユーザー情報と組み合わせ、より自然な対話が実現できるという。
RoboStudioの価格は1000万円からとなっており、通常ロボットの開発にかかる数億円の費用を大幅に軽減するという。同社では、人間とコミュニケーションできるパートナーロボットの進化がロボット市場拡大の鍵だと考えており、RoboStudioによってロボット開発ベンダーをサポート、パートナー型ロボットの普及を促進していく考えだ。すでに1社と契約が成立しているほか、さらに数社から引き合いが来ているという。
NECのパーソナルロボット「PaPeRo」 | |
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RoboStudioはWindows 2000とRedHat Linuxに対応しており、Windows版は7月、Linux版は12月の出荷を予定している。
ロボットソフトウェアプラットフォームを提供する競合企業として、同社は米Evolution Roboticsの名を挙げた。Evolution Roboticsは清掃・配達などの移動型ロボットに注力しており、ナビゲーション技術に強みがある。それに対し、NECはパートナーロボットに重点を置いており、認識技術などに強みを持つという。また、Evolution Roboticsは多くの場合C++などの言語を使ってプログラムを書く必要があるのに対し、NECでは開発者だけでなく、デザイナーなど様々な人がプログラムを組みやすいようなロボット専用のスクリプト言語を用いており、早く簡単にプログラムが書けるとして、同社の利点を強調した。
また、パーソナルロボットPaPeRoの発売予定については、「PaPeRoはNECのキャラクターであって、販売するつもりはない」(NEC マルチメディア研究所長の西谷隆夫氏)として、あくまで研究開発用であると強調した。「ハードウェアのロボットで商売をするつもりはないということか」という記者の質問に対しては、「PaPeRoのプラットフォームを利用して、他社にロボットを開発してもらうほうがいいと考えている」と話し、ロボット自体を売り出すのではなく、ロボットの頭脳部分でビジネスを広げていく考えを明らかにした。
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