ペンシルバニア州フィラデルフィア在住のPeggy Karasekの家で、娘の携帯電話が爆発したのは、ちょうどPeggyが眠っていた時のことだ。この爆発で、赤熱のバッテリーの破片が周囲に飛び散り、そばにあった人形に引火した。
10月4日(米国時間)に起きたこの事故では、けが人は出なかった。しかしこの火災の原因は携帯電話であり、被害はもっと大きくなっていた可能性が十分あるとKarasekは主張している。
「不幸中の幸いだった。部屋の一部を燃やしただけで済んだ」(Peggy Karasek)
2004年には、悪質なバッテリーによる携帯電話の事故が多発している。消費者向け製品の安全性を監視している団体によると、今年に入ってから、携帯電話の溶解によるケガや損害の報告が数十件届いているという。
報告されている事故のほぼ全てがバッテリーの欠陥や偽造バッテリーが原因で生じており、この他には電話を落としたことによって生じた事故があった、と米消費者製品安全委員会(CPSC)は述べている。
こうした事故に遭遇するのは、1億7000万人に上る米国の携帯電話契約者のうち、ごくわずかな利用者に限られている。しかし消費者擁護団体らは、欠陥バッテリーが増加していることが、こうした傾向が見られる原因だと考えている。
「ここ数年、さまざまな種類の欠陥バッテリーが急増している。今年は、携帯電話の爆発事故が発生し、火災や、人々が体のさまざまな部位を火傷したとの報告があった」とCPSCの広報担当Scott Wolfsonは述べている。
携帯電話ユーザーが直面している危険はそれだけではない。携帯電話が脳腫瘍の原因になるとの噂は以前から存在するが、先週スウェーデンの研究機関が発表した報告によって、この説が信憑性を帯びてきた。米食品医薬品局は、携帯電話の使用による健康問題の科学的証拠は見つかっていないが、「携帯電話が全く安全だという・・・証拠はない」と述べている。
また携帯電話は、自動車運転の安全性議論の中心にもなっている。米国の一部の州では、携帯電話が運転者の注意散漫を招き、事故を起こす可能性があるとして、自動車運転中の携帯電話の利用を法律で禁じている。
携帯電話がZippoライターに化ける危険性はごく稀だが、実際に存在している。
安全装置つきでも事故が発生
ほとんどの携帯電話で使用されているリチウムイオン電池は、ショートなど特定の状況で過熱するおそれがある。温度上昇のスピードが緩やかであればバッテリーケースが溶けるが、急速に温度が上がれば小規模な爆発が起こるだけの圧力が生じる可能性がある。
認可を受けたメーカーが製造しているバッテリーの大半には、放熱用通気孔や温度作動式のシャットダウンスイッチなど、溶解防止の安全装置がついている。偽造バッテリーにはこうした機能がついていない可能性があり、爆発の危険性が高まると専門家らは指摘している。
しかし、純正のバッテリーでも事故が起きる場合がある。たとえば通気孔がふさがれた場合などだ。電話機から外してポケットに入れられていたバッテリーがショートし、金属部分がポケットの小銭に長期間接触して爆発した事例が、少なくとも1件報告されている。また電話機を落とすと、落下の状態によっては爆発を引き起こす可能性がある。 2003年8月よりオランダで携帯電話の爆発事故が相次ぎ、その後米国でも1年ほど前に初めての事故が報告されて以来、携帯電話のバッテリー故障問題は関心を集めるようになっている。2003年8月には33歳のオランダ人女性が、手に持っていたNokia製携帯電話の爆発で負傷した。その2カ月後にはオランダのスーパーマーケットの従業員が、ズボンのポケットに入れていたNokia製ハンドヘルド機の爆発で足にやけどを負っている。以来、バッテリーの溶解の報告は多数寄せられており、さまざまなメーカー製のもので爆発や負傷事故が生じている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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