今年(2006年)の春に、高品位映像に対応したDVDの第一弾がついに店頭に並ぶと、多くの人々が店舗に殺到するかもしれない。ただし、来店者の目的は次世代DVDディスク自体の購入ではなく、それを高解像度のままで再生できるコンピュータや機器を見つけ出すことかもしれない。
この謎を解明するのは容易なことではないだろう。現在発売されている最も高性能なコンピュータやモニタのなかには、たとえBlu-rayやHD DVDドライブを追加したとしても、そのための基準を満たせそうにないものが多くある。
これは、適切な端子やコピー防止機能が揃っていなければ、次世代DVDに採用される厳しいコンテンツ保護技術によって、映像の画質が自動的に引き下げられたり、場合によってはディスクの再生がまったくできなくなってしまうためだ。現在最も高額なコンピュータのなかにさえ、これらの仕様を満たしているものは少ない。
実際、消費者からはすでに激しい反発が起こっている。グラフィックチップメーカーのATIやNvidiaは、こうした新しいコピー対策技術に「対応」した製品を販売しているが、実はこれらの製品には最高画質でディスクを再生するのに必要とされる重要な機能が揃っていないため、両社はネット上で非難を浴びている。
「これは厄介な問題だ。消費者はかなり混乱するだろうし、コンピュータメーカーにとっても解決が難しい問題になるだろう」と、Envisioneering GroupアナリストのRichard Dohertyは述べている。
コピー対策技術をめぐる混乱は、ハリウッドの映画会社が作品の著作権侵害を防止したいと考えたことから始まった。こうした著作権侵害行為は、1999年後半に今日のDVDに搭載されている暗号化技術を解除するツールにネット上に出回ったことがきっかけで後半に行われるようになった。
次世代DVDでは、画質が改善されることに加え、新しいデジタル著作権管理機能も導入されるが、この機能には映画を再生できる方法などを明確に定めた厳しいルールが付いている。
単体のDVDプレイヤーやHDTVには適切な端子が内蔵されるため、これらの製品を購入しても、この問題にぶつかる心配はほとんどないだろう。
だが、コンピュータユーザーにははるかに多くの難問が待ち構えている。現在、大半のコンピュータとモニタを接続するのに使われているごく普通のアナログ端子は、コピー対策技術をサポートしていないため、ハリウッドの映画会社はこれらを危険なものとして見ている。そのため、アナログ端子経由で接続したコンピュータで映画を再生すると、おそらく現在のDVDに近いところまで画質を下げられてしまう可能性が高い。
さらに、いわゆるDVI端子の場合はもっと面倒なことになる。DVI端子なら高画質のデジタル信号をモニタに送れるが、ただしこの端子はコピー対策技術をサポートしていない。
映画会社の目には、コピー対策技術に対応しない端子は一段と危険なものに映る。そこで各社はMicrosoftに対し、「HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)」というIntelの開発した暗号化技術に対応しないコンピュータでは、モニターとコンピュータとの接続を完全に遮断するという機能を、まもなく登場する「Windows Vista」に追加するよう働きかけている。HDCPを有効にしておけば、映像信号をモニタ画面に達するまで保護することができる。
つまり、DVDが許可する端子がないと画面が真っ黒になってしまうのだ。
「HDMI」という新しい端子にはほとんど場合暗号技術が内蔵されている。そのため、コンピュータとモニタをこの端子に対応するケーブルで接続すれば、すべてが想定通りに機能する。
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