ソニー幹部、「Blu-ray Discは究極のディスクフォーマット」

永井美智子(編集部)2005年10月05日 22時34分

 Blu-ray Discの規格策定やプロモーションを行う業界団体のBlu-ray Disc Association(BDA)は10月5日、幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2005においてパネルディスカッションを開催した。オーディオ・ビジュアル/デジタル・メディア評論家の麻倉怜士氏がモデラーとなり、BDAに参加する企業の代表がBlu-ray Discの魅力について語った。

 登場したのはソニー コーポレート・エグゼクティブSVPの西谷清氏、20世紀フォックス ホームエンターテイメント シニアバイスプレジデント ビジネス&テクノロジーストラテジーのローイ・キャネル氏、松下電器産業 パナソニックAVCネットワークス社 蓄積デバイス事業・アライアンス推進室 室長の小塚雅之氏。麻倉氏の質問に答える形でディスカッションは進んだ。

 ソニーの西谷氏によれば、Blu-ray Discのフォーマットは10月中にほとんどの規格が策定済みで、遅れていた読み取り専用のBD-ROMについても年末までに決定する予定という。「2006年には各社から商品が登場する」(同氏)

 Blu-ray Discは記録層が単層の場合25Gバイト、2層の場合50Gバイトという大容量の光ディスクだ。インタラクティブ機能を備え、ネットワークを利用して追加コンテンツをダウンロードすることもできる。

 Blu-ray Discの魅力について西谷氏は、放送の画質をそのまま録画できる点を挙げる。これまでのVHSやDVDでは、1つのメディアに映像を収めるためにある程度画質を劣化させなくてはいけなかった。しかし大容量のBlu-ray Discであれば、画質を落とすことなく映像を保存できるというのだ。

 「一度DVDの画質を見てしまうと、VHSのパッケージソフトは見なくなってしまう。同じ事はBlu-ray Discにも言えるだろう。良さを知ってしまうと、元には戻れないものだ」(西谷氏)

 20世紀フォックスのキャネル氏も、「映画の場合、制作者がこだわった細部までそのまま表現できる」と映画会社の立場から期待を寄せる。画質だけではなく、音質についても「これまでのテレビではスピーカーも小さかったが、テレビが大画面になっていいスピーカーが搭載されるようになれば、音の迫力がより出るようになる。Blu-ray Discのコンテンツでは美しい映像に音がマッチして、本当に迫力ある映像が表現できる」とした。

 Blu-rayではインタラクティブ機能にJavaを利用することを決定しており(関連記事)、ネットワークにも対応する。「すでに多くの開発者がいることがJavaの最大の魅力だ。これにより、コンピュータで映像がより扱いやすくなるだろう」と松下電器の小塚氏は自信を見せる。

 また、ネットワークに対応することでコンテンツホルダーが新たなビジネスモデルを築けると小塚氏は言う。ソニーの西谷氏も、「ネットワークとJavaに対応したことで、Blu-ray Discはディスクフォーマットとしては究極の姿となった。あとは、コンテンツホルダーがこれらの機能を使ってどんな楽しさを提供するかが問題だ。たとえばHDDに保存した映画で、2年前に見たときにはなかった映像がネットワークを介していつの間にか追加されており、合わせて見るとさらにその映画が面白くなる仕掛けなどが考えられる」と期待を寄せた。

 「ここに非常に大きなキャンパスと絵の具を全部揃え、みなさんの才能を最大限に発揮できるよう準備したつもりだ。これから先、Blu-ray Discには無限の可能性がある」(西谷氏)

 なお、CEATEC JAPAN 2005では同日、Blu-ray DiscのライバルであるHD DVD陣営も講演に登場している(関連記事)。どちらもそれぞれのフォーマットの優位性を主張しており、両陣営の争いはしばらく続きそうだ。

オーディオ・ビジュアル/デジタル・メディア評論家の麻倉氏は、BSデジタル放送のコピーワンス問題について3者の意見を求めた。「ユーザーのフェアユースを尊重すべきだ」という意見で会場は一致していた

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