エレクトロニクス事業のうち、主力事業と位置付けられたのはテレビ、デジタルイメージング(ビデオカメラおよびデジタルスチルカメラ)、ビデオレコーダー、ポータブルオーディオの4つ。これらの競争力を高めるため、半導体やデバイスの開発を強化する。具体的には次世代ゲーム機の「PLAYSTATION 3」向けに開発されているプロセッサ「Cell」やモバイル用のLSI、Blu-ray Disk関連デバイス、次世代ディスプレイの有機ELなどに注力する。
ソニーは2003年度から2005年度までの3年間、Cellを中心とした半導体の設備投資に約5000億円を投じてきた。2006年度から2007年度にかけては、さらに3400億円を投じる。ただし今後2年間は画像処理関連の半導体が中心で、Cellなどのゲーム用途向け半導体の開発は「ひと段落した」(中鉢氏)という。なお、ゲーム用途の半導体にかかった開発費用については「ゲーム事業によって回収する」(中鉢氏)としており、エレクトロニクス事業とは切り離す考えだ。
ただしCellはソニーが社運を賭けて開発したプロセッサであることから、Cellを生かした商品やアプリケーションを開発する「Cellデベロップメントセンター」を同社代表執行役会長 兼 CEOであるハワード・ストリンガー氏が直轄する組織として新設する。
ソフトウェアの開発体制も強化する。データの圧縮技術やDRM(デジタル著作権管理技術)、複数の製品で利用可能なミドルウェアやアプリケーションなどの開発を進める。新たに技術開発本部を設立し、米国、中国においてソフト開発拠点を2005年度中に設置する。
このほか、エレクトロニクス事業の成長を牽引する領域として、HD(高品位)映像関連製品に注力する。ソニーは放送用ビデオカメラだけでなく、民生用でもHD画質の映像が撮影できるビデオカメラ「HDR-HC1」を販売している。販売価格はソニーのオンラインストアであるソニースタイルで17万8000円と高額ながら、「出荷量は当初計画の2倍」(中鉢氏)と好調だ。また、子会社のソニー・ピクチャーズエンタテインメントが持つ映画も画質をHD化する取り組みを進めており、今後は「HDワールド」というキャッチコピーの下、製品のHD対応を進めていく。2005年度における全製品のHD化対応率は35%だが、これを2007年度には75%にまで高める考えだ。
一部報道では金融事業や同社が持つスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー!)の株式を売却するとされていたが、ソニー エグゼクティブ・バイス・プレジデント 兼 CFOの大根田伸行氏は「金融事業からの撤退はまったくない。また、スカパー!の株式を手放す予定もない」と完全に否定した。金融事業を統括するソニーフィナンシャルホールディングスの株式公開後もソニーが過半数の株式を保有する予定という。ただし株式公開時期については、当初予定の2006年度から2007年度以降に延期するとしている。
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