Advanced Micro Devices(AMD)は、まずサーバ向けの「Opteron」プロセッサで高価格チップ分野に進出した。そのAMDが、今度はガジェット向けに開発した「Geode」チップの新製品で家電市場に参入する。
同社最高技術責任者(CTO)のFred Weberによると、新しい「Geode LX800」は、小型コンピュータやセットトップボックス、テレビ、携帯端末などへの採用をねらって開発された低消費電力プロセッサだという。同チップは533MHzで動作し、Via Technologiesから出ている800MHzのプロセッサと同等の性能を持つ。
Geode LX800は、性能面ではノートPC用やデスクトップ用のチップにはるかに及ばないものの、消費電力はわずか0.9ワット程度で、ヒートシンクや冷却ファンを必要としない。そのため搭載機器のコストとサイズを抑えることが可能になる。同時に、Geode LX800はx86チップであることから、多くの(Windows)CE用チップとは異なり、デスクトップ用に開発されたソフトウェアをどれでも動かすことができる。
「顧客の間で、ソフトウェアの問題がますます大きくなっている」とWeberは言う。現在17社がGeode LX800を使ったプロトタイプの開発に取り組んでおり、そのうちのいくつかは年内に製品として販売されることになりそうだ。
IntelとAMDはいづれも自社チップの家電製品への採用を進めてきている。IntelはMicrosoftと、「Celeron」チップをMicrosoft製OSが動作するセットトップボックス用に供給する契約を結んだ。同社はまた、ノートPC/デスクトップPC用チップから派生したCE端末向けチップの開発に取り組んでいる。これに対し、AMDはすでに「Geode NX」製品群をリリースしている。これらのチップは、同社がインドで売り込んでいる「Personal Internet Communicator(PIC)」に採用されている。
だが、この市場では長い間、Texas InstrumentsやARMといった企業がCEメーカー向けにチップやソフトウェア、レファレンスデザインを提供しており、IntelとAMDは厳しい競争に直面することになる。
AMDはOpteronチップの開発中に家電分野への進出を思いついた。「われわれはx86アーキテクチャを高価な製品に応用できることが分かった。そこで、同じように低価格製品にも同アーキテクチャを利用できるはずだと考えた」とWeberは説明する。この戦略は現在「x86 everywhere」として知られている。
しかし、家電市場は(PCやサーバの市場とは)かなり様子が異なっている。まず、チップは低価格でなくてはならないが、この点に関してGeode LXチップは、最も高い製品でもチップセット込みで45ドルと、デスクトップやサーバ用チップよりもはるかに安い価格設定となる。
「利益を出すためには何百万個も販売する必要がある」とWebber。その反面、これらのチップはサーバ用チップとくらべて開発コストが安く、またメーカー側が5年間の長期供給契約を求める場合も多いという有利な点もある。
また、AMDにはさらに多くのチップを販売できるというメリットもある。AMDは通常、自社のプロセッサとともに使われるチップセットをサードパーティに製造させているが、Geode LX800が採用されるような機器では安定性が求められることから、AMDがプロセッサとチップセットの両方を製造することになると、同社マーケティングディレクターのErik Saloは説明している。
これらのチップには、デスクトップ/サーバ用チップにはみられない機能も搭載する。Geode LXは、暗号化エンジンと2Dグラフィック機能が内蔵される。また、別に3D用グラフィックチップを追加することも可能だ。
このチップの全体的な設計は、National Semiconductorが行ったもので、AMDでは2003年にNationalからGeodeプロセッサ部門を買収した際にこれを手に入れた(Nationalは1997年にCyrixから同部門を買収した)。Geode LXの製造は外部のファウンダリが担当する予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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