このように、インドの農村地域の住民は厳しい生活を強いられている。インド最大の商業都市であるムンバイの東部に位置するこの村では、1700万人という膨れ上がる人口に対応するために、現在大規模な建築プロジェクトが進んでいる。
建築プロジェクトの進行に伴い、村の農業は衰退し、住民の多くが職を失った。またShahによると、同建築プロジェクトのおかげで学校へと続く道が分断されてしまい、ここに住む子供たちの多くが通学できなくなってしまったという。多くの村民に、建築プロジェクトで失ったものの代償として土地が支給されたが、彼らは土地面積や市場価値を理解することなく、それを投機家に売り払ってしまった。
また、村民は一部の職業に優先的に雇用されることになっていた。「だが雇用主は、コンピュータリテラシーがないことを理由にこれを拒否した」とShahは説明する。
Shahのプロジェクトが初めに行ったことの1つとして、地元言語への翻訳作業があった。Shahによると、インドの地方に住む人々の多くは、英語やヒンディー語が分からないという。それにも関わらず、グジャラート語やマラーティー語に翻訳されたアプリケーションは皆無に等しいと、同氏は付け加える。また、インド文字をポップアップ画面に表示するためにライブラリを構築する必要もあった。
「村民の人々はコンピュータ教育の価値を理解している」とShahは言う。「私がマラーティー語で何かを教えると、彼らは30分で内容を吸収する」(Shah)
このプロジェクトで使用されるソフトウェアはすべてLinuxをベースとしている。「私が本当に好きなソフトウェアアプリケーションは、MSロゴがついたものだ。だがこの国では、このソフトウェアは高すぎる」(Shah)
インターネット接続サービスやハードウェアも安いものでないと、利用することは不可能だ。現在のところ、村にはインターネットに接続できる環境は整っていない。しかし、無線通信サービスが月額4ドルで提供されている。同サービスは問題解決の一助となっている。
プロジェクトで利用されるPCには、製造が中止されたVia製プロセッサと比較的小さなメモリが搭載されている(これらは寄贈されたものだが、同プログラムでは人々が自分たちの力でPCを入手できるようになることを目指している)。現在の目標は、価格1万ルピー(約200ドル)のモニター付きPCを設計することだ。
「液晶モニター付きのPCを1万5000ルピーで売れば、飛ぶように売れるだろう」(Shah)
残念ながら、インドでは寄付されたハードウェアを、商用目的で使用することが禁じられている。
Jitendra Shah氏 |
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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