コンピュータリテラシー向上への道--インド農村地域の取り組み

Michael Kanellos (CNET News.com)2005年05月10日 17時40分

 インド・ムンバイ発--インド農村地域の住民がコンピュータ技術による恩恵を享受できるようになるまでには、かなりの作業やカーバッテリーが必要だと、Jitendra Shah教授は言う。

 Shahは、当地でスーパーコンピュータを開発する「Centre for Development of Advanced Computing(C-DAC)」に勤務する人物だ。同氏は、インドにおける貧困を少しでも解消しようと、コンピュータ利用促進プログラムを立ち上げた。

 ムンバイ近郊のある村で実施されているパイロット事業では、学生たちがVia Technologiesから寄贈されたPCを使用して幾何学の宿題をしている。また女性たちはプログラムを使って家計を管理する。5月末にはインド国内から大学の先生が集まり、3週間のトレーニングコースを受講する予定だ。受講者らはその後、他の地域で同じプログラムを展開することになっている。

 電力が足りないため、村では、カーバッテリーやトラックバッテリーを利用してPC用の電気を確保している。バッテリーは定期的に充電する必要があって不便だが、公共の電力はときに供給不足に陥るため、仕方がない。実際、3週間前にも村の変圧器が故障し、電力供給がストップした。違法な電線接続を行って盗電する人があまりに多かったためである。この時インド政府は、村が盗電した人に制裁を加えるまでは変圧器を修理しないと主張した。その後、何とか修理が行われたが、その翌日には変圧器がまた故障してしまった。

 「今朝は電気が供給されていたが、この状況がいつまで続くかは分からない」とShahは言う。こうした状況の打開策の1つとして、薄型の太陽電池をPCに搭載しようとする近未来プロジェクトが挙げられる。

 Shahはデジタルデバイドの問題を解消する取り組みの最前線に立ち、活躍する人の1人だ。現在、世界のPC設置台数は約6億7000万台にものぼる。そしてこの数は2010年には10億台に達すると見られる。新たなPCのほとんどは新興地域に設置されるだろう。

 インドで進行している他のプロジェクトとしては、インターネットキオスクの機能ももつATM(現金自動預入支払機)の設置が挙げられる。1台あたりの設置コストは約5万ルピー(約1100ドル)。インド中西部のマハラシュトラ州で情報技術管理職を務めるP.D. Sohaleによると、インド最大規模の銀行が現在、農村地域にこのようなATMを設置しているという。

 一方、Intelインド法人の社長Ketan Sampatによると、同社はカーバッテリーで動くPCを開発中で、このPCはほこりを遮断する特殊なケースに入れられて出荷される予定だという。Intelはこの他にも、インド南西にあるケララ州で、地元の起業家にPCを提供するプログラムを進めている。起業家たちはこのPCを利用して、地元の人々にコンピュータ処理能力を時間単金で提供することになる。

村ではトラックバッテリーを利用してPC用の電気を確保している。

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