6月3日、英Symbian CEO(最高経営責任者)のデビッド・レビン氏が来日し、Symbian OSの現状と取り組みについて紹介した。
Symbianは携帯機器向けの高機能OSを開発している企業。NokiaやSamsungのほか、松下電器産業やSony Ericssonなども出資している。
2000年にEricssonがSymbian OSを搭載した携帯電話を発売したのをきっかけに、現在では世界の携帯電話ベンダーの約85%が顧客であるという。 レビン氏によると「2003年12月にSymbian OS搭載電話機の出荷台数が月間100万台を超えた」といい、現在までの総出荷台数は1200万台以上とのことだ。
Symbian OSを搭載したNTTドコモのFOMA F900iT。タッチパネルやBluetooth機能を搭載している |
国内ではNTTドコモが2003年9月に同社と契約を結び、FOMA用のOSとして採用することを決定している。なかでもSymbian OSへの取り組みを積極的に進めているのが富士通で、今までにF2051、F2102V、F900iにおいてSymbian OSを搭載していた。
レビン氏によると、NTTドコモが6月1日に発表したBluetooth機能搭載のF900iTにもSymbian OSが採用されているという。「Symbianの採用によって、端末の開発サイクルが速くなっている」(レビン氏)。日本法人のシンビアン代表取締役社長 久晴彦氏の話によれば、富士通ではSymbian OSに対応するためにF2051の開発には1年以上かかったものの、その後の開発期間は半年程度に短縮しているという。
「Symbianは携帯端末にカーネルなど共通部分の技術を提供する。これにより、携帯端末ベンダーは製品の差別化となる部分に注力することができる」(レビン氏)
国内ベンダーとしては、ソニーエリクソンが欧米向けのGSM端末「P900」でSymbian OSを採用しているほか、松下電器もGSM端末「X700」を提供している。また、三菱電機はFOMA向けにSymbian OS搭載端末を開発中という。
携帯電話向けの高機能OS市場は、Microsoftがねらっている分野でもある。この点についてレビン氏は、Microsoftに対する3つの優位性を挙げる。「第1に、我々は端末ベンダーが差別化を実現するような余地を提供している。第2に、Symbianは携帯端末向けというDNAを持っている。携帯電話にCtrl+Alt+Deleteボタンを付けて欲しいと思ったことはない。第3に、我々はオープンで透明性の高い事業モデルを採用しており、すべてのベンダーと同じ契約を結んでいる。したがって、当然ライセンス料もみな同じ価格だ」(レビン氏)
NECなどが採用を進めているLinuxについては、「Linuxは統一バージョンがなく、それぞれのベンダーがそれぞれの市場で製品を出している。したがって、統一バージョンのLinux携帯電話というものもない」とした。
高機能携帯電話と競合することになるPDAの今後については、「PDAは死に向かっている。まもなく死んでしまうだろう」と発言。「ソニーエリクソンの端末のように、PDAの機能を携帯電話に組み込んでしまう方法が正解ではないか」とした。なお、PDAに関しては、先日ソニーが日本以外での撤退を発表している。
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