ソニーは同社の携帯端末「CLIE」製品の取り扱いを縮小し、米国および欧州のPDA市場から撤退する。この動きにより、Palm OSの開発元であるPalmSourceには新たなプレッシャーが加わることになる。
ソニーは、2000年8月に米国のPDA市場に参入していた。同社は今後も日本ではCLIEの販売を続ける計画だが、生産を段階的に縮小し、その他の地域では年内に市場から撤退する。Sony Electronicsの広報担当Kelly Gaffneyは米国時間1日、同社がPDA市場の再評価を行なっていると語った。
GaffneyはCNET News.comに対し、「ソニーは現在、これまでのPDAの方向性を再評価しており、今秋米国でCLIEの新モデルを発売することはない」というSony Electronicsが用意した声明を読み上げた。「製品開発と販売は、日本市場でのみ継続する。ソニーはこの機会に、これまでのPDA事業と今後の方向性を検討していく」(Gaffney)
ソニーがVaioブランドのコンピュータの展開に重点を移す中、今回の決定はPDA市場に大変動を起こすことになる。Hewlett-Packard(HP)、Dell、PalmOneなどの各社が、ソニーが持っていたPDA市場のシェアを巡って激しい戦いを繰り広げるのは必至だ。また、PalmSourceもPalm OS最大の顧客を失うことで新たな対応を迫られる。ソニーはPalmSourceを引き続き支持していくと確約しているが、それでもPalmSourceは売上減少を免れないとアナリストは述べている。
なお、このニュースを受けて、PalmSourceの株価は13%下落した。
PalmSourceでは、ソニーの決定が同社の財務面に与える影響についてコメントを控えているが、全世界のPDA市場における同社のシェアは、ここ数四半期低下を続けている。ソニーは依然としてPalmSourceに出資している最大の外部企業であり、また技術協力の面でも最も貢献度が高い、とPalmSourceの業務開発担当シニアバイスプレジデント、David Limpは述べている。
Limpによると、従来のPDA市場では整理統合が続いているものの、PalmSourceではスマートフォン市場からの売上が伸びているという。スマートフォンは、携帯電話とPDAの機能を兼ね備えている。
「われわれは、スマートフォン市場の成長性および同市場をリードする自社の力について、強気な見方をしている」(Limp)
調査会社NPDのアナリストStephen Bakerは、スマートフォンの魅力に対して、ハイエンドのPDAは太刀打ちできなくなっていると説明する。
「PDAの高級機には携帯電話の機能も付くようになっている。これらの機能を全部揃えず、デザインと洒落た外観だけで価格を正当化するのは非常に厳しい」(Baker)
ソニーはCLIEに数多くの機能を追加してきたが、これらの製品の大半は高価なものだった。
「ソニーは、さまざまな機能を搭載したPDAを500〜600ドルで販売しようとしてきた。だが、このやり方は顧客に受け入れられなかったようだ.....少なくとも一般個人ユーザーには」 (Baker)
Gaffneyによると、ソニーは今後もCLIEの技術サポートや保証サービスの提供を続けていくという。また米国仕様のCLIEの製造も続けるが、ただしいつまで継続するかは明らかになっていない。しかし製造が打ち切りとなり米国の在庫が完売した場合、在庫を補充する計画がないという。
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