NECエレクトロニクスは2月19日、新たな高速無線伝送規格「ワイヤレスUSB」に準拠した技術の開発を始めたと発表した。2005年末までに同技術を搭載したシステムLSIの製品化を行い、2007年までに年間100億円の売上を目指す。
ワイヤレスUSBは、UWB(Ultra Wide Band)と呼ばれる技術をベースにしている。通信距離が短い代わりに高速な点が特徴で、現行のUSB2.0と同等の480Mbps(通信距離3m時)を目標としている。また、既存のUSBと同じように、複雑な設定をすることなく機器同士を接続できる見込みだ。
NECエレクトロニクス 第二開発事業本部 第二システムLSI事業部 事業部長の新津茂夫氏 | |
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NECエレクトロニクスはUSB関連半導体の世界シェアが約50%といい、USB2.0の2003年12月までの累計出荷数は5500万個、累計売上高は250億円にのぼるという。「NECエレクトロニクスにとってUSBはコア技術であり、ワイヤレスUSBに取り組むことで、この分野をより大きなビジネスにしていきたい」とNECエレクトロニクス 第二開発事業本部 第二システムLSI事業部 事業部長の新津茂夫氏はいう。
ワイヤレスUSB機器の市場規模については2006年が650万個、2007年には2200万個になるとNECエレクトロニクスでは予測している。同市場でも世界シェア50%を狙うとしており、2007年までにワイヤレスUSB関連半導体で年間1400万個の出荷、年間売上100億円を目標とする。
システムLSIの開発にあたっては、米Staccato CommunicationsおよびイスラエルのWisairと協力する。2社はUWBの物理層(PHY)チップを担当し、NECエレクトロニクスが開発するのはワイヤレスUSB部分となる。ただし、2006年下期にはPHYも自社開発し、1チップ化する考えだ。
NECエレクトロニクスはワイヤレスUSBの仕様策定にも参加する。2月18日(米国時間)に結成されたワイヤレスUSBの推進団体「Wireless USB Promoter Group」にNECのグループ企業として参加するという。2004年12月はバージョン1.0が出る予定。Wireless USB Promoter GroupにはIntel、HP、Microsoft、Samsung Electronicsなどが参加している。
無線技術としてはすでにIEEE 802.11xが広く使われているが、ワイヤレスUSBとは共存関係にあるとNECエレクトロニクス 第二開発事業本部 第二システムLSI事業部 ネットワークプロジェクトマネージャーの松嶋修氏は説明する。オフィス内などの基幹ネットワークには802.11xが利用され、PCやテレビ、プリンタ、デジタルカメラ、ゲーム機などのAV機器間を局所的につなぐ場合にワイヤレスUSBが使われるのではないかとした。
UWBの仕様は、MultiBand OFDM Alliance(MBOA)が策定するMB-OFDM方式を採用する。Motorolaなどが提案しているDS-UWBという方式もあるが、無線LANで使われている周波数との干渉問題などの点で、MB-OFDM方式のほうが優位と判断したという。NECエレクトロニクスでは17日から米サンフランシスコで開催中のIntel Developer Forum(IDF)にてデモを行っている。
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