サンフランシスコ発--米Apple Computerは、これまで無償で提供していたiMovieとiPhotoのダウンロード提供を中止する決定を行った。Mac用ソフトウェア開発への投資から、さらに多くの利益を回収しようという、同社の明確な方針変更を示す一例といえる。
Appleは長年、一般ユーザー向けのソフトウェア開発に多くのリソースを注ぎ込んできたが、当初はその努力の成果を無償で提供していた。この無償提供は、Windows陣営の各社が出すパソコンからMacの差別化を図るための手段として正当化されていた。しかし最近では、Appleは顧客に対して、新たなソフトウェア開発への投資を続けていくためには、やはり収益を上げる必要があると訴えてきている。
「ソフトウェアの提供も、我々にとってはビジネスだ。これらのアプリケーション開発を積極的に進めたい」と、同社のアプリケーション及びサービスのマーケティング担当ダイレクター、Peter Loweは述べている。
昨年、同社はいくつかのソフトウェアをバンドルし、iLifeという名称のパッケージソフトとして、49ドルで販売し始めたが、その後検討を重ねた結果、iMovieとiPhotoの無料ダウンロードを継続していく決定を行った。しかし時が移り、iMovieとiPhotoは、いまでは有料のiLifeパッケージの一部としてしか手に入らなくなっている。ただし、iTunes音楽プレーヤーはいまでも、Windows/Mac版の両方とも無償でダウンロードできる。
Appleは、今後も新しいMacにはiLifeを無料で提供し続けていく。同社には、Windowsベースのシステムに対抗するためのセールスポイントとして、また既存ユーザーのマシン買い換えを促す良い理由として、このソフトウェアを利用したいとの思惑がある。
一度は無料だったソフトウェアを有料化する傾向は、Appleが2002年に.Macを有料化したときに始まった。それ以前に、このサービスがiToolsという名で提供され、機能も限られていたときには無料で使えたものだった。
この.Mac有料化について、Loweは「我々は、さらに理にかなったビジネスモデルへと移行する必要性を認識した」と、先週サンフランシスコで開催されたMacworld Expoでのインタビューで述べている。「また顧客側でも、結局には非常に満足しているようだ」(Lowe)
しかし、Macユーザーの中には、AppleがMac所有者に多くを要求しすぎていると不満を述べる者もいる。Mac OS Xは、平均すると年に1度のペースでアップグレードされているが、その度に129ドル程度の費用がかかる。また、.Macサービスは年間99ドルの利用料がかかるが、さらにその上に今度はiLifeに49ドル支払えと言うのか、というのが彼らの言い分だ。ただし、Apple CEOのSteve Jobsは、6日(米国時間)に行った基調講演のなかで、WindowsユーザーはiLifeと同様の機能を持ったソフトウェアを揃えるのに数百ドルも支払っていると指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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