英国のチップ開発会社ARMの技術は、多くの携帯電話や最新式の携帯端末を動かしているが、その同社が家電製品でのLinux採用を推進する業界団体に参加すると発表した。
ARMは米国時間27日に、Consumer Electronics Linux Forum(CELF)の准会員になったと発表した。同グループは、セットトップボックスのような製品ですでにLinuxを採用している松下電器やソニーによって、この6月に創設された。米Motorola、NEC、韓国Samsung、欧州メーカーのSTMicroelectronicsや米Texas Instrumentsも、同グループのメンバーに名を連ねている。他には、組み込みソフトウェアメーカーの米MontaVistaや米TimeSysも参加している。
ARMが販売する知的所有権は、ほとんどの携帯電話の基礎として使われており、多くのPocketPCやPalm OSデバイスは、ARMのハイエンド向けチップを搭載している。またARMのプロセッサは、セットトップボックスやネットワーク機器のようなデバイスでも利用されている。
Linuxは、デジタルビデオレコーダ、インターネットセットトップボックスや携帯電話など、PC以外の分野での利用に関心が高まっている。そして、安定感があり、費用がそれほどかからず、1社に独占支配されていないとみなされているため、多くの企業を惹きつけている。Linuxは、米Wind River Systemsや米Green Hills Softwareのような既存の組み込みコンピューティング企業や、この市場への新規参入者であるMicrosoftのような企業に支配されている市場に進出し始めている。
PC以外のデバイスで使用されるLinuxの勢いに気づいたWind Riverは、つい最近、同社の広く普及している組み込み開発ツールにLinuxサポートを追加した。
ARMは、同社のコアに基づいたマイクロプロセッサ用に組み込みLinuxを開発し、使用するための作業にすでに着手していると述べたが、同ソフトウェアをサーバやデスクトップ分野から組み込みデバイス分野に完全に移行させるには、もっと取り組みが必要だしている。同社は、カーネルの設計、ソフトウェアサイズの制約、パフォーマンスレートやパワーマネジメントのような課題に取り組むという。
組み込みコンピューティング業界を専門に扱う米Venture Developmentのアナリストによれば、同業界のソフトウェア、開発ツールおよびサービスを合せた市場規模は、昨年13億7000万ドルだったという。そのうち、Wind Riverは17.7%と最大のシェアを誇り、Microsoftが11.1%でこれに続いた。MontaVistaのシェアはわずか1.2%で業界下位にとどまり、TimeSysは1%以下で「その他メーカー」に分類されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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