NECエレクトロニクスは10月22日、今年度の設備投資額を上方修正し、160億円増の980億円にすると発表した。同時に、来年度以降は300mmウエハに対応した生産設備を導入することも明らかにした。
現在デジタルAV機器や携帯電話向けのLSIの需要が強いこと、今後も需要が拡大することから設備増強を決定したという。現在九州と山形にある150nm以下の微細化プロセス設備を中心に投資を行っていく考えだとした。
300mmウエハへの対応については、1枚のウエハからより多くのチップを生産でき、コスト効率が高いことからIntelやSamsungのほか、国内でも ソニーやエルピーダメモリなどが力を入れている。NECエレクトロニクスは300mmウエハ対応に対して慎重な構えを取っていたが、設備の性能が上がってきていること、必要な設備額が低下してきたことから参入を決めたという。従来200mmで考えてきた自社工場内の投資計画を300mm対応に順次振り替えていく計画だ。
ここで作られる製品は携帯電話やデジタルAV機器などのシステムLSIになるという。ただし、「個別に顧客が決まっているカスタムLSIの製造に必要な設備を随時投入していく。需要を見ながらきちんと稼働できる規模で投資を行い、大型の工場をいきなり建てるようなことは考えていない」とNECエレクトロニクス代表取締役社長の戸坂馨氏は話しており、多額の投資規模にはならない模様だ。製造プロセスについても「従来300mmウエハは90nmの製造プロセスとセットで考えられていたが、NECエレクトロニクスではまず130nmの製品を作っていく」(戸坂氏)という。設備を建設する具体的な時期や場所は未定で、年内に発表するとしている。
中間決算は純利益が前年同期比1.3倍に
NECエレクトロニクス代表取締役社長の戸坂馨氏 | |
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また、NECエレクトロニクスは2004年3月期の中間決算を発表した。売上高は前年同期比4.9%減の3480億4400万円、営業利益は同77.3%増の252億6200万円、純利益は同135.4%増の121億1600万円と減収増益となった。これにより営業利益率は7.3%(前年同期は3.9%)、純利益率は3.5%(同1.4%)に改善した。
売上高が減少した主な原因としては、前年度好調だったゲーム機向け半導体の需要が落ち込んだことや、LCDなどの販売受託事業をNECグループに移管したことがあるという。ただしDVDレコーダ、デジタルカメラ、デジタルテレビなどのデジタルAV関連向けシステムLSIが好調といい、今後の成長を牽引していく製品と見ている。
増益要因としては売上原価率の改善が大きいという。「構造改革などによって固定費を100億円ほど削減した」(戸坂氏)といい、売上原価率は前年同期の71.0%から66.7%に下がっている。
なお、現在円高が進んでいる為替の影響については、「1円の円高で4〜5億円のインパクトがある」(NECエレクトロニクス財務本部長の佐藤博氏)という。上半期の時点では1ドル120円を想定していたが、円高が進んでいることから下半期は1ドル110円として計算しているという。為替が10円異なることで40〜50億円のインパクトがあるとし、通期の業績予想に関しては見通しを変更しないことも明らかにした。
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