NECエレクトロニクスは7月24日、東京証券取引所第一部(東証一部)に上場し、今後の経営方針について説明会を開催した。24日の初値は5350円、終値は5430円となり、公募売り出し価格の4200円を大幅に上回る価格で取引された。
NECエレクトロニクスはNECから汎用DRAMを除いた半導体事業を分社・独立させ、2002年11月に誕生した企業。なお、汎用DRAM事業は日立製作所との合弁会社であるエルピーダメモリに統合されている。システムLSIを主力製品としており、ガートナー データクエストの調査によると、2002年の世界半導体市場における売上高は第6位となっている。
都内で会見を開いた同社代表取締役社長の戸坂馨氏は、上場初日の取引に高値がついたことに対し、「市場から高い評価を受けたと考えている。期待を裏切らないよう透明性のある経営に努めたい」と安堵した様子を見せる。
NECエレクトロニクス代表取締役社長の戸坂馨氏 | |
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戸坂氏は今年度の経営方針について明らかにし、収益の改善に力を入れる考えを示した。具体的には、固定費の削減と技術や生産設備の再利用を進めることで収益を上げていくという。固定費については、経営改革を進めることで今年度10%程度の削減を見込む。技術の再利用については、「特にC言語によるシステムLSIの開発に力を入れていく。これにより開発納期を短縮し、設計手段の再利用を進める」(戸坂氏)と説明した。
NECエレクトロニクスは今回の上場によって調達した資金を財務基盤の強化に当てる方針だ。欧米の半導体メーカーでは業界の変動に対して柔軟に対応できるよう、自己資本比率を50%以上に保っている企業が多い。2002年度のNECエレクトロニクスの自己資本比率は36.5%だが、同社財務本部長・CFOの佐藤博氏は「STMicroelectronicsなど海外の半導体メーカーと肩が並ぶように自己資本比率を50%程度にまで持っていきたい」と語った。
2003年3月期の業績については、売上高7050億円(前年比2.8%減)、税引前利益440億円(同191.6%増)、当期純利益260億円(同170.2%増)を見込むとしている。
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